「智美、帰ろう!」
「えっ? あぁ、うん」
私はくるみに引っ張られ体育館を出た。

女子の部室で着替えて外に出ると、森野キャプテンと杉田·高橋くんが着替えて待っていてくれた。

「くるみ、帰ろう」
森野キャプテンとくるみが並んで歩く。
私たち3人は、その後ろをついて歩く。

「近野については、俺たちがちゃんと指導するから。
だからくるみ、そんなに怒るな」
「……………」

キャプテンがくるみを宥めながら歩く。
そんなキャプテンに、高橋くんが言う。

「キャプテン。
近野は、いくら指導しても無理です。中学から、ああなので」
「……………」
「バスケットが好きでマネージャーをしているんじゃなくて、バスケの上手いカッコイイ人に近づくのが目的でマネージャーをやっているんです」

「…えっ?」
「はぁ?」
「何それ!」
私·キャプテン·くるみが同時に声を上げる。

それを無視して、高橋くんは続けた。
「…そしてたぶん、あいつの今の目的は杉田先輩です」

「ちょっと待って!
杉田とエリカちゃん?
それって、中学の時は話じゃなくて…?」
くるみが叫んだ。

「……………」
「…えっ?」
「…どうして、くるみ先輩がその話を知ってるんですか?」
男子3人に詰められたくるみは、
「…だって、ねぇ智美」
と、私に助けを求めてきた。
それと同時に、みんなの視線が私に向いた。