「智美。準備できた?」

そう聞かれて、
「うん。だけど、もう1回、一緒に確認してくれる?
出来れば、エリカちゃんも一緒に確認したいんだけど…どこにいる?」

私がそう言うと、1年生の部員が、
「近野なら、着替えて帰りましたよ」と教えてくれた。

「ホントに?
まだマネージャーの仕事終わってないのに?」
くるみがその部員を問い詰めるように聞くと、彼は怯えた感じで、何度も首を縦に振っていた。
それをかわいそうに思った私は、
「くるみ、やめて。
帰っちゃったのは仕方ないから、私たちも確認して帰ろう。
明日の朝、また教えればいいんだから」
そう言って、確認を始めた。

そこに森野キャプテン·杉田·高橋くんも加わって、"これでよし"となった。

「エリカちゃん、中学のときもバスケ部のマネージャーをしていたと聞いたから、大丈夫だよね」
私は杉田に聞いた。

「…あぁ、たぶんな…」
だけど杉田は、曖昧な返事をする。

「たぶんって…」
くるみが呟くと、
「くるみ先輩、智美先輩。近野に期待してもダメですよ」
高橋くんが声をかける。

「えっ…?」
「俺、同中だから分かります。
あいつは、飾りのマネージャーです。
何1つ、まともに仕事出来ません。いつも、同級生や後輩部員に頼ってました。
まぁ、助けてしまっていた俺たちにも責任はあるんですが…」
「……………」
「……………」