2年生でも、杉田をはじめ数人は事実を分かっている。
それでも、みんなが彼女や何も知らない部員に黙っているのは、彼女の面倒な性格を杉田から聞いているから。
部内で、面倒な人間関係を作りたくないから。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★
その日、いつものようにジャグにドリンクを作って体育館に運ぼうとすると、
「智美先輩。俺が運びますよ」と声がかかる。
振り返ると、1年生の高橋和哉(タカハシ カズヤ)くんがいた。
高橋くんは、1年生の中で1番バスケが上手い。ユニホームはもちろん、上級生を抜いてスタメンにも入るんじゃないかと部員たちは噂してる。
もちろん、練習メニューも他の1年生とは違いレギュラー組と一緒だ。
それでもこうして、マネージャーの仕事を補佐してくれたりもする。
だから、私も素直に「ありがとう」と手伝ってもらった。
いつもの場所までジャグを運ぶと、くるみとエリカちゃんがボトルを持ってきた。
「あれっ?高橋くん、早いね」
くるみが気付いて話しかける。
「あっ、はい。
てか、普通にこの時間には来れるので、俺も準備手伝いますよ。ジャグは男子が運びます。
毎日、女子が交代で運ぶのは大変でしょうから」
「え…?」
「いや…、でも…」
「……………」
慌てる私たちとは違い、高橋くんは冷静に続けた。
それでも、みんなが彼女や何も知らない部員に黙っているのは、彼女の面倒な性格を杉田から聞いているから。
部内で、面倒な人間関係を作りたくないから。
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その日、いつものようにジャグにドリンクを作って体育館に運ぼうとすると、
「智美先輩。俺が運びますよ」と声がかかる。
振り返ると、1年生の高橋和哉(タカハシ カズヤ)くんがいた。
高橋くんは、1年生の中で1番バスケが上手い。ユニホームはもちろん、上級生を抜いてスタメンにも入るんじゃないかと部員たちは噂してる。
もちろん、練習メニューも他の1年生とは違いレギュラー組と一緒だ。
それでもこうして、マネージャーの仕事を補佐してくれたりもする。
だから、私も素直に「ありがとう」と手伝ってもらった。
いつもの場所までジャグを運ぶと、くるみとエリカちゃんがボトルを持ってきた。
「あれっ?高橋くん、早いね」
くるみが気付いて話しかける。
「あっ、はい。
てか、普通にこの時間には来れるので、俺も準備手伝いますよ。ジャグは男子が運びます。
毎日、女子が交代で運ぶのは大変でしょうから」
「え…?」
「いや…、でも…」
「……………」
慌てる私たちとは違い、高橋くんは冷静に続けた。