あれから1ヶ月ーー、
「ハッピー」と名付けられたゴールデンレトリバーは、川村家に来た時よりも少し大きく成長していた。みちるは、ハッピーが来てから神社には寄らなくなっていた。また、少しづつだが性格も明るくなっていき、休み時間も一人でいる時間が少なくなってきていた。
ハッピーのおかげだと、心の底からハッピーと、ハッピーを連れてきてくれた両親に感謝した。
「みちる、最近楽しそうねぇ」と、母に言われた。
「うん!ハッピーのおかげだよ!ありがとう、ハッピー♪」と、足元で寝ていたハッピーの頭を優しくなでる。
ハッピーは片目を開けて、嬉しそうなみちるをちらっと見ると、また寝てしまった。
「もう17時・・・散歩の時間だ!ハッピー行こう!」と、時計を見たみちるが言うと、さっきまで寝ていたハッピーは尻尾を振り起き上がった。
「暗くなる前に帰ってくるのよー」
「うん!行ってきまーす!」
ーーハッピーがこの家に来てから、みちるは毎日欠かさず散歩をしている。散歩をすると気持ちも落ち着くし、なにより家族には言えないこともハッピーと2人きりのため、いろいろ相談できる。みちるにとってこの1時間ほどの散歩は、1日の中で1番特別で大切な時間だ。
「あのね、ハッピー。今日学校でね・・・」
みちるの話を、ハッピーは静かに聞いていたーー。