「ちっ・・・」
渋々散歩の準備を始め、ハッピーのお気に入りのおやつと、ペットボトルに入れた水をバッグの中に入れ、ハッピーをリードにつなげる。
「ほら、早く行くよ」と言うと、ハッピーは嬉しそうな足取りで玄関を出た。

ーー歩くこと20分・・・
小さい頃は1時間歩いても『もう終わりなの?』という顔でみちるを見てきたが、今のハッピーは6歳。人間で言うと50歳近い年齢なのだ。今もだいぶ息が上がっていて、坂を登るのも一苦労なほど。そんなハッピーの様子を見かねたみちるは、小さい頃毎日行っていたあの神社で休憩することにした。
「ほら、ハッピー、おやつと水だよ」と、家から持ってきたプラスチックの茶碗に水を入れてあげると、ハッピーは嬉しそうにそれを飲んだ。
『これでも、もう6歳なんだよねー・・・』と
ハッピーの頭をなでながら思った。
散歩の時間になると嬉しそうに反応するハッピーであったが、それ以外はずっと日向で寝ている。顔も少し老けたような、疲れているようなーーゆっくり、だが、確実に年をとっているのが分かった。