千鶴は率直な眼差しを僕に向けた。

僕の返事の早さに驚いているようにも見えた。


「キスだけ?」


『うん……そうだよ』


僕はベッドの中で体を滑らせて千鶴に近づいた。

二人の体がピッタリと合わさり、この時初めて、僕たちはお互いの体温に触れることが出来た。

僕は右手で彼女の小さな頭を撫でながら、細くて茶色くて真っ直ぐな髪に指を絡ませた。


「どうして?」


彼女の細かい息づかいが聞こえるほど、僕たちは顔を近付けていた。


『だって……また来るんだろ?』


「う、うん……」


千鶴は布団の中に潜るように体を滑らせて、僕の胸に顔を押し付け、しがみつくように左手を背中に回した。

彼女に僕の心臓の音が聞こえてるんじゃないか?と思うと、恥ずかしかった。