二人以外にも苦しい人はいた。

竹野葵(たけのあおい)男、高校三年

ずっと、佐久間るみに恋していた。

翔とは、幼なじみで結構仲良くて、

翔は、昔から女にモテモテだった。

小学校の頃は、あいつも女に優しかったんだ。

中学の時、告白してくる人みんなが口々にかっこいいから、とか、スポーツできるから、とか、勉強できるから、とかばっかり言ってきて、それで、外見で判断されてると知って、女を嫌いになった。

俺もそれを知ってた。
翔が、話してくれた。

外見で見られるのが嫌いなのが、俺には理解できなかった。

佐久間を好きになったのは、高校一年の時だった。俺が運動会で怪我した時に、手当をしてくれた。

その時の笑顔とか、優しさにきゅんとした。

それから、話したいって思って、翔に頼んで一緒に教室に一緒に行った。

でも、そのせいで、佐久間は、翔のことが好きになったらしい。

はじめは、冗談かとおもった。

佐久間が俺に、翔くんのことが好きなんだけど、どうしたら近づけるかな?って聞いてきたんだ。

俺が佐久間のこと好きなのは、絶対気づいてなかった。

しょうがないとおもったんだ…

けど、佐久間の告白を断って、
三ヶ月くださいって言われて、
三ヶ月で振り向かせてみせる!って張り切ってる佐久間を見てるのが辛かった。

なんで、あんなやつに…って、思った、


「よりによって、なんで翔なんだよ…」

これが俺の考えだった。

こんな小ちゃい考えで、そんな俺が大っ嫌いだった。

翔が悪いわけじゃないのに、
なのに、責める相手がほしくて、
翔のせいにして自分だけ楽になろうとした。

そんな俺を翔は、責めなかった。

ごめん。って、謝られた。

その時、あぁ、なにやってんだろ…って思った。バカなことしてたって気づいたんだ。

だから、今は、翔と佐久間のことを応援してる。

応援なんて、バカだって翔は、いうかもしれない。けど、そうしたい。

俺の大好きな佐久間を応援したい。

「あぁ、本当に俺はお人好しだな。」

考えを変えてくれて、翔本当にありがとう。