ーーーーー8月。
気温は35℃。むせかえるように暑い!暑すぎるー。

私は溶けそうになりながら、あの人使いの荒い春沢先生に頼まれた教材を資料室に置きに行こうとしていた。

資料室に行くには、今いる職員室から階段を3回も登らなければいけない。
でも、頼まれたんだから仕方がない!と腹をくくって、よたよたと歩いていた。
「もーー、春沢ぁ。こんな重いもの押し付けやがってー!」私がブツクサ言いながら階段を登っていると、急に荷物が軽くなった。
驚いて後ろを見ると…
「他月!」私の彼氏だ。
「よう、重そうだな。俺が運ぶから。」
荷物を片手で持ち、私の頭をポンとなでて一瞬ニコッとして歩いて行った。

他月はクールであまり女子と喋らない静かな男子だから、さっきみたいな笑顔はとてもレアだ。
だから、私は笑顔で教室に戻った。