案の定、誰一人として手を挙げようとすらしていない。
ここまでは、みんなの想定内の出来事。
ここからは長期戦。
それも去年の経験を経て、みんながみんな覚悟していることだった。
そんな切り詰めた空気の中、突然の声に、みんなの視線が一斉に集まった。
「先生、誰もいないなら、僕やります。」
松下君のその想定外の一言に、驚かなかった人なんていなかったと思う。
でも、一番に動揺したのは、きっとこの私だ。
まさかよりにもよって、一番大変な学級委員長をやるなんて‥‥考えてもなかった。
でも、このチャンスを逃したら‥‥もう二度と‥‥