「い、いやでもさ……」

「とにかく、一回見に来て!ね!」

「って、ちょ、おい!」

見つけた見つけた見つけた!
すごい歌を歌う人を見つけた。
ずっと探してたバンドに合う歌声。
やっと出会えた。
今日は厄日なんかじゃなかった!

ガラガラ

「みんな!ボーカル見つけた!」

「まだやるって言ってねぇ!あといきなり腕つかんで走り出すんじゃねぇよ、危ないだろ!」

「……あ、ごめん」

無我夢中すぎてそんなこと考えてなかった。
ってか井原君ってこんな大声出すんだ。

「美月、ごめん、状況わかんないんだけど」

「井原涼也くん。このバンドにあう歌声を持ってる人。見学につれてきました!」

「あー、なるほどね。ごめんね井原君、美月無理やりだったでしょう」

「……まぁ」