廊下の方で
お父さんと お母さんの 声がする


『ありがとうございます!!』とか
『こん御恩は…!!』とか


お医者さんっぽい人の
『救命処置が早かったので
一日入院して、すぐ帰れますよ』とか




ちょうど、夕飯の時間みたいで
外で、ガヤガヤと
ガラガラって音もしてたけど


少ししたら、急に静かになって


… 魔法使いが、ひとりで
中に、入って来た




「――― お、起きたか」




濡れた 茶髪の髪


出したばかりみたいな
白いTシャツと


首にかかった
青いタオル




扉を閉めながら向ける
… ホッとするような 笑顔




「お父さんとお母さん
もういらっしゃってるから安心しろ

手続きと
一応必要な物、買いに行 ―――

… うわテメエ
なに投げてんだ馬鹿!!


紙パックの牛乳なんか投げたら
破裂した世界は、もう大惨事だろうが!」


「な…!! なしけんいると?!」


「―― ずっと あそこに居たっつの
… オマエが、来なかっただけで」