取り合えず、私は真弓の所に持って行っていた自分の荷物を元に戻した。
意を決してリビングに戻ると、ソファーの端っこに千春さんは申し訳なさそうに長身の身体を畳んで座っていた。
「何か飲みましょうか。」
「えっ?はい……。」
「美味しいコーヒー買ってきたんです。今、淹れますから待っていてくださいね。」
「はい。」
(さてと、何て切り出そうか。………千春さんたら捨てられた仔犬みたいで………あぁ、さっきの可愛かったなぁ。いつもは凄く大人で格好いいのにあんなギャップ……反則だよ。)
コポ コポ コポ コポ…………
電気ポット外して布巾の上に暫く置く。
ドリップコーヒーを淹れるにはお湯の温度が重要だ。
95℃以上の熱いお湯で淹れると苦味の強いハッキリした味に仕上がり、朝や夜の眠気覚ましにはもってこいだ。
それより温度の低い75℃以下で淹れると、まろやかで落ち着いた酸味のある味に仕上る。
リラックスしたい時などはこちらの方がいいのかもしれない。
「今日は低めにしとこう。」