彼女の過去を知ってからは尚更、優しくしてあげたいと思った。
シャララン
ドアの鈴を鳴らしてお店に入る。
「ミレーイ!!居るー?」
暫くの沈黙の後、ドタバタと音を鳴らして彼女が出てきた。
「花枝ちゃんっ!!来てくれたの?!」
「うん!元気だった?でも…どうしたのその格好?」
ミレイはノーメイクでボサボサ頭のまま、項垂れた。
「元気だけど…………花枝ちゃんに進められて行った会社のプロデューサーが私のデザイン気に入ってくれて、それで今度CMで使われる事になったから今、超忙しいんだよ。御飯も食べる暇なくて…。」
「凄いじゃない!!ミレイのドレスは絶対認められると思ってたんだ!じゃあ、遅くなったけどこれでお祝いしよ!!」
大きなケ⚪タッキーの袋を顔の横に掲げ上げた。
「キャーーー!!花枝ちゃん愛してるーーー!!いい匂いがすると思ったんだよね~!!私、お茶用意してくる!!」
彼女はぴょんぴょん跳び跳ねて感情を表すと、さっきとは見違えるように元気に走って行った。
「よかった………。」
彼女なら大丈夫と自信はあったけど、紹介した手前、もし駄目だったらと、少しだけ心配していた。
ほっとして休憩室のソファーに座り、辺りを見渡すと生地や装飾品が山のように積まれていて今にも崩れそうになっている。
きっと毎日、この部屋で一針一針、気持ちを込めて衣装を作っているのだろう。
これからの彼女の輝かしい未来が見えるようで私は嬉しくてしかたがなかった。