パーティー会場に着くとそこは大きなホテルではなく、自宅の庭でやるホームパーティーだった。
自宅と言っても相当広い敷地なので用意されているお料理もシェフが出張して作る豪華な物だった。
呼ばれている人は大勢では無かったが何人かは他のパーティーで顔を合わせた人達だった。
「泉CEOじゃないですか!直々のご参加ですか?」
「ええ。宜しくお願い致します。」
「泉CEOが来られたんじゃ、私も得を致しました!!さぁ、あちらに行きましょう。」
「ええ。」
横から佐伯が耳打ちする。
「森田食品の清水部長です。」
頷いて答える。
(少人数だから、気を抜けないな………。)
ウェルカムドリンクを渡され会場がある庭へ通された。
庭中に立ち込めるのは花の香り………何処かで嗅いだことのあるような気がする。
開けた庭に通されると会場を囲むように黄色の薔薇が咲いていた。
「ほぅ…、見事ですなぁ。」
「ええ。」
生き生きと咲く黄色いバラは何故か気味悪く感じられた。
むせ返る程の薔薇の香りは独特で料理の匂いさえも消すほどだった。
「佐伯…この匂い苦手だ。早めに切り上げるぞ…。」
「はい。」
いつもは平静を装っている佐伯秘書でさえ眉間に皺がよっている。
俺はさりげなく辺りを見回して、お目当ての友川社長を捜した。
「泉CEO…あちらに来られました。」