午前中の仕事が一段落し、喫煙所で一服する。
(はぁ~。お昼…何て言われんだろ……。こえーな。)
「お疲れ~!」
「おお~、お疲れさん。」
同僚の水川 令子が入ってきた。
相変わらずセクシーで隙のない格好だ。
「そう言えば、あんたは花枝からお土産貰った?」
「ゴホッゴホッ!!」
「大丈夫?」
(こいつ、何か知ってんのか?)
令子は数少ない俺の恋愛事情を知っている。
昨日からの俺の様子で何か感ずいたのだろうか。
確かに昨日はずっと上の空だった。
「………あいつに告った。」
「ゴホッゴホッ」
今度は令子が咳き込んだ。
「嘘っ!マジで言っちゃったの?」
「おお。……そんでもって、あいつにキスしてるとこ旦那に見られた。」
令子は溜め息を大きく吐くと、また煙草をふかした。
「………最悪じゃん。それでまさか開き直って宣戦布告したわけじゃないでしょーね?」
「何でわかるの?!」
「はぁー。あんた本当にバカだね。そんな事したら、花枝の立場はどうなるの?」
煙草の火を消して、喫煙所の長椅子にどかっと座った令子の軽蔑の眼差しが痛い。
「…………ああー、分かってるよ。本当に俺は救い用の無いバカだって。」
「そんで、旦那はなんて?怒り狂って殴られた?」
「いや、それが、すれ違い様に恐ろしい言葉吐いていった。」
「えっ?何て言ったの?」
「いや、カオス過ぎて言えない。」
「冷静な奴の方がキレるとヤバイからね~。あんたどうするつもり?」