別に、両親がいないからって悲しいわけじゃない。


遺産目当て、と言ったら薄情かもしれないけど、わたしを引き取ってくれた親戚も、ちゃんと優しかったし、子どもがわたし以外いなかったこともあってか、実の子どものように可愛がってくれた。


何不自由なく、ーーーと言った面では、たぶん他所の子よりも贅沢をさせてもらっていたと思うくらい、幸せだった。

そのためか、去年の夏の進路希望調査では、大いに泣かれた。


まあ、それもそうだろうなぁ、と自分でも納得してるけど…。


わたしは、第一希望の高校を選択する前に、就職を希望した。

勉強も人並み以上に出来たし、その当時の学力でも県内でそこそこの高校に入れたから、きっと先生たちも戸惑ってたと思う。

 
そして、先生以上に、おばさんたちが考えを改めるよう泣きついてきた。


当たり前だろう。
10年以上も自分の子どものように育ててきた娘が、当然のごとく進学するだろうと思っていたのに、高校には行かず就職だなんて。



少し考えなおせ、そう言われてもう一度見せられた高校案内のパンフレット。


就職が無理ならと、わたしは敢えて地元から二時間以上かかる遠方の普通科高校を選んだ。



それでもやっぱり、親の立場としては遠方にも行って欲しくなかったらしかったけど、就職よりはとしぶしぶ了承してくれた。