「普通の家に斧ってある……?」


大神さんが、言うと同時に背筋にゾワッと寒気がしたので振り返った。


そこには、2階の窓からあの笑顔では無く恐ろしい顔で私達を見る桜さんがいた。


「解離性同一障害の人格が入れ替わる時はお兄さんの様に時間だったり……後は何かのキッカケで……なんだ」


大神さんはスタスタと歩き続ける。


「き、キッカケ?」


私は直ぐに前を向き直して大神さんに小走りで追いつく。


「桜さんって、始めは普通に『兄』って言ってたけど……。2階に上がった後から『あの人』って呼んでたね」


「えぇ、2階に登るのがスイッチですか?」


「うん。多分ね。1回だけでも2階に登ると人格が変わるんだろうね」


大神さんは思い出すように言う。


「は、はあ!?あの時にはもう1人の桜さんだったんですか?」


私はゾッとして聞く。お茶をいれている時には既に……。


「つまり…?」


私は恐ろしいが聞く。