「いやー、不思議な事件もあるんですね」
門をくぐって私は言う。
「本当に…ね」
大神さんは何処か暗い感じで言う。
「ん?どうしたんですか?」
「いや、ちょっと…ね」
ううん?どうしたんだろうか事件を同時に2個も解決したのに、やたら暗い。
「やっぱり、ブランクがあるなぁ」
大神さんはそう言い、その場で伸びをした。
「何を言ってるんですか。同時に2個も解決したんですよ!大神さんはー!」
私は珍しく大神さんを褒めてみた。
「ハハ、2個も……か。俺は1個の事件も解決して無いよ」
大神さんはそう言った。
「えぇ?どういう事ですか?」
私は聞き返す。
「解離性同一障害は基本的には幼少期の強いトラウマ…例えば虐待とかで引き起こされるもの……」
大神さんは半分独り言のように言う。
「あの部屋に合った二種類の物。ほぼ全部が男物の二種類だったけど携帯だけは何故か女物だったよ…」
大神さんは独り言のように話を続ける。
「そして、兄にだけ虐待して、妹には何もしないなんて不公平……だよね 」
「え、えぇ」
私はなんとなく話が分かってきたが何も答えられなかった。