桜さんは声を荒らげて言う。


「普通、この症状は自覚症状が無く…気づいたら別の場所に居るなんて事もあるんです」


大神さんは真剣な顔だ。


「お兄さんの二台ある携帯を見たんですが中には女性の死体等が写っていました…」


私が下に降りている間にそんな事も調べていたのだと思った。


「な、なんでそんなものが兄の携帯に?」


「最近、この辺りで起きている通り魔事件はご存知ですよね」


大神さんはそれだけ言った。


「え……じゃ、じゃああの人が……通り魔なんですか?」


大神さんは静かにコクリと頷いた。


「恐らく、本当に全くの無意識だったんでしょうね。しかし勝手に増えていく自分で買った記憶の無い服」


桜さんは大神さんの言葉が耳に入らない位に困惑している。