「もっと触れてほしい」
静かな神社ーーー
境内の裏でその一言は斗士を静かに興奮させた。
触れてほしい 。そう呟いた羽実の瞳は斗士を映し出す。その言葉の裏には 2人がまだ辿々しい意味が隠されていた。
「いや、だってオレ…」
大胆な羽実の言葉に戸惑いと焦りを隠せない斗士。
「ワタシじゃイヤ?もう魅力感じない?」
「なっ!違うよ…!ウミはいつだって
すんげぇ可愛いし…」
(今だって ウミが嫌がっても無理矢理にでも…)
欲を抑えるのに必死な斗士を羽実がギュッと抱きしめる。
「トシくんになら…」
「ウミ…オレ今までサッカーばっかで好きな奴とかほんといなくて…だからウミが初めてで…」
「ワ…タシも…どうしていいか…
どうしていいかわからないよ…」
「…………ウミ」
「とめられなくなったらゴメン」
斗士が優しい瞳で見つめながら羽実に最後の言葉を交わす。赤く染まった羽実の後ろに大輪の美しい花火がうち上がる。大きな花火の音と共に2人の唇が重なり合う。
「ーーーーーとめないでーー」