( 8月20日 )
「は?先生何言ってんの?」
クラスイチお調子者の山田将太は担任、通称メガネの言葉に耳を疑った。
「昨日 日曜日の夏祭りの夕方。クラスの橘が交通事故で」
メガネが顔を曇らせてクラス全体を見渡した。みんな口をポカンと開き横目で橘 泉歩の席を見た。
「ウチ昨日ママから聞いた。運転手の居眠りだとか…」
PTAを母に持つ学級委員の竹林が口を開いた。その途端に急にザワザワと教室が騒ぎ出す。
「とりあえず、葬式の日は学級全員で行く」
やけに静かな教室。
(普通なら泣き出す奴が1人2人いてもおかしくないのに。やっぱ橘だからか…)