「お兄ちゃん行ってくるね~♪」


真下に目をやると
元気いっぱい手を振る妹と
申し訳なさそうに会釈する多分彼氏。

良さそうな奴だな、なんて
こんな時だけ兄貴面な自分を苦笑しながら
手を振り替えす。

ぎこちなく手を握る二人が
遠目から見ても微笑ましい。


俺にもあったな…


ぼんやりと河川敷に向かう二人を見ながら
いつのまにか10年前を
思い出していた。