スピーカーから最後のスターマインを
告げる音が鳴り響く。

屋台からの声も止み
賑やかだった周りも静まり

一夏の思い出をと
カメラを向ける人、
目に焼き付けようとする人
今か今かと皆が皆、夜空を見上げる。


「…私の事、まだ好き?」


一瞬の静けさの中、ふと耳に入る声。
彼女の方を向き直ると
誰もが夜空を見上げる中、
ただ真っ直ぐに俺を見ていた。


「…バカ、好きなわけないだ…」


全部を言い終わる前に
彼女に口を塞がれる。

ほんの数秒…

ドーン!ドーン!とスターマインが
上がる。

激しい音と共に、辺りが色とりどりに
明るさを取り戻した。