「…綺麗だね」
「そうだな…」
彼女の言葉に頷く
毎年の代わり映えのない花火も
何だか違って見えた。
「ずっと一緒に見れたらいいな…」
花火の音に消え入りそうな声で
彼女が呟く。
「ずっと一緒に見れるよ。10年後も、20年後も。」
花火から目を逸らさず答える。
「10年後は結婚してるかな?」
そう言って手を強く握り返してくる。
「子供も一緒に見てるかもな。」
笑いながら、自分も強く握り反す。
「約束だよ?10年後も一緒に花火見ようね。」
「当たり前だろ?」
僕達は初めて花火から視線を逸らすと
茶化され膨れっ面な彼女に
僕は初めてのキスをした。