葵との電話は、私が完全に泣き止むまで切られることはなくて、私が泣き止むと

《じゃ、おやすみ》と、葵はその一言だけ言って電話を切った。

一言だけで寂しい気もしたけど、忙しい葵を考えると、そんな気もすぐに消えた。



私はその電話のことをどうしてもゆずに言いたくて、葵の電話が終わるとすぐに電話した。



《もしもし》



ゆずは私から電話が来るのを分かってたかのように、すぐに向こうから声が聞こえた。



「美鈴だけど…」

《ん?どした?》

「あのね、今葵から電話があってね」

《何だって?》

「何か…もう喧嘩は終わったみたいで、顔がすごい状態らしい」



すると、さっきまで興味津々に聞いてきたゆずの声がパタリと聞こえてこなくなった。



…あれ……

私変なこと言った?



でも次に聞こえたゆずの声は意外にも楽しそうな声だった。



《あの葵が?顔ヤバいの?あのイケメンが?じゃあ菊哉なんかどうなっちゃうのよー!》

「ちょ、ゆず―…」

《どうする?ね、どうする?2人とも誰か分かんなかったら、あたしたちどうする?!》

「落ち着―…」

《いくら中身変わってなくても顔が気持ち悪かったら、さすがのあたしもごめんだなぁ》



でも喋り方の異変に気付いた。




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