ほのかに朝お酒の匂いがしたのはその所為だと思う。



「…葵?」


「…」



………ヤバい。

こいつ爆睡してる。



爆睡しちゃうと当分起きないのが葵のクセで、本当にそのクセは厄介で最悪。



えー……これからどうすればいいのよ。



あたしの親は九州の方に転勤で2人で暮らしているから、今あたしは一軒家に一人で住んでる。



別に寂しく感じたことはないけどたまにお母さんの料理を食べたくなる時はある。



でも一々弱音吐いてられないからあたしは気にしないように日々を過ごしてるつもり。



だから家に、あたし以外の人がいると安心するのは普段我慢してるからなのかもしれない。




「…っ重い…」




あたし一人でバス停から家まで葵を運んできたなんて考えられないくらい



葵は男らしい体つきをしていた。



綺麗な黄色に近い金色の髪。

男のくせに長いまつげ。

色っぽいピンク色の唇。



どうしたら、こんな整った顔が産まれてくるんだろう。


あたしなんか、女のくせに全然まつげ長くないのに。


葵はズルすぎる。



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