ぬいぐるみが増えだしたのは、小学校の中学年くらいからだった。



まず始まりは、お父さんにユーフォーキャッチャーで取って貰ったウサギのぬいぐるみだった。



あまりにも柔らかくて、寝るときに抱き締めていると、よく眠れる事に気付いた。



それから、柔らかいぬいぐるみが好きになり



誕生日になると『ぬいぐるみが欲しい』と毎年必ず言っていた。



それからどんどん増えていき、いつの間にか部屋にはぬいぐるみだらけになっていた。



それがキッカケで



あたしは何かと抱き締めるようになり、その時の感触が止められなくなってしまった。



葵と付き合い始めた時も、まずは胸に飛び込んで抱き付き、抱き心地を確かめた。




「あー…ねみー」


「いや、まだ7時だから」




昔のことを思い出しつつ、隣で眠そうにする葵に目を向けた。



ウトウトと頭は揺れて、寝ぼけているのか、あたしの肩に頭を乗せてきた。



…重いんですけど。



完全に寝る体勢に入った葵は、力が抜けて全体重をあたしに預けてきた。




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