「ひ、ひとり負け…?」
私は口がぽかんと開けたまま言った。
「ちょ、由紀ある意味すごいね。」
菜摘が驚きながら言う。
「そ、そんなぁ〜。最初から一人はやだよぉ」
私は菜摘に涙目になりながら訴えるが、
「しょうがない、しょうがない。
30秒数えてから探してね!!」
と言い階段の方に走っていってしまった。
菜摘の後を追うかのように、
次々と「頑張れ」と声をかけて走っていく。
「由紀、ただの鬼ごっこだし頑張ってね」
相変わらずの優しさを持つ未来が
笑顔でそう言う。
仕方なく私は「うん」と言い、
下駄箱に寄りかかり眼を瞑りながら30秒数えた。