「とりあえず、俺はまだ仕事がある、用が済んだならさっさと帰れ」


シッシッと手を振って大和を追い払うと、踵を返してニ、三歩進み…しかしすぐに足を止める。


「何でついてくるんだ」


何故か隣に並んで歩いている大和に視線を向けると、殴り飛ばしたくなるほどの呑気な笑顔がそこにあった。


「せっかくだから、おじさんとおばさんにも挨拶しとこうと思って!あっ、あとあのうるさい三つ子の弟達にも」


“うるさい”は余計だが、事実なので言い返す言葉もない。
いつの間にか先に立って歩き出す大和の背中に、軽くため息をついて将人も後に続いた。


「もうすぐ上の姉と下の姉が帰省するから駅まで迎えに行かなきゃいけないんだよ」

「おっ、マジで?あねさん達に会うのいつぶりだっけか…ちょうどいいからおれも乗っけてよ」

「何がちょうどいいんだよ…それと、母さんの腹ん中にもう一人いるからあんまし騒ぐなよ」

「マジか!!?」


ピタッと足を止めた大和が驚きの表情で振り返る。