「というわけだから、急遽予定を変更してマサとおれとサー子の三人で旅行に行くことになりましたー」

「醤油取って」


テレビを見ながら片手を伸ばす早希に、醤油差しを手渡し大和はゴホンと一つ咳払い。


「えーっと、そういうわけだから今月最後の一週間は三人でドライブ旅行に…」

「味噌汁おかわり」


テレビを見ながら差し出されたお椀を受け取って、大和は席を立ちキッチンに向かう。
戻ってきたところで改めて早希に向き直るも、先程から一向に視線が噛み合う気配がない。


「サ…サー子ぉおお!!」


遂に悲痛な声をあげながらテレビの前に立ちはだかった大和に、早希は冷たい視線を向けた。


「頼むから無視しないで!!」


妹に泣きつく兄という何とも情けない絵面に早希は堪らずため息を一つ。


「あんたの顔見てたらご飯がまずくなる、てかテレビも見えないし」


レトルトのカレーをスプーンですくって口に運び、味噌汁で流し込む。
本当はもっとゆっくりと味わいたいところだが、早いところ大和から離れたい一心で早希は黙々とスプーンを動かす。