「……んだよ、それ」



歩くのをやめ、前髪をくしゃりとして表情を隠す雨。



「……だって、不公平だもん。
私、ばっかドキドキして。雨はいつも余裕があってずるいよ!」



むぅと頬を膨らませて、そう言うと突然抱きしめられる。



雨の体温、雨の使っている香水の匂いが鼻を掠め、ドキドキが止まらない。



「ふ、不意打ちだ……!不意打ちはずるい!」



「………お前だって、ずりーよ」