すぐに戻って来た悠陽…。
「何!?」
「美羽は気にしなくてイイっス…。」
「超気になる…。」
何何!?
服脱ぐ前に教えてよ!!
「んっ…。ちょっと悠っ…。」
「気にすんなって…。集中。」
首攻め…。
やめてほしいけどやめないでほしい…。
「美羽…。」
「ふぁ…。」
耳もダメ…。
ってかもうダメ…。
「俺限界…。」
「あたし…も…。」
あぁ…。
久しぶりの悠陽だ…。
顔が見たい…。
目を開けると悠陽があたしを見てた…。
「ヤってる時はこんな…顔。」
「溶ける…。」
見た事ないような悠陽の顔…。
超カワイイ…。
「あんまり余裕ねぇから見んな…。」
「ヤダ…。見てたい…。」
あたしの足に触れるその手も…。
揺れる前髪も…。
あたしをまっすぐ見つめる目も初めて見たかも…。
心臓がキュンってなる…。
「好きっ…。」
「俺も…。」
極上に溶ける~…。
あたしだけの悠陽だ…。
「ぬぁ~…。もうムリ…。」
「ギュッてして…。」
「ん…。」
悠陽最高…。
絶対誰にも譲らない…。
「もう1回する?」
「いや…。もうムリ…。」
「なんで!?」
「取り合えず…。疲れたんでまた明日帰ったらにしましょう…。」
悠陽が変だ…。
いつもならシッポ振って喜ぶくせに…。
でもその後も悠陽はあたしを抱きしめてくれて…。
幸せ気分で眠りについた。
昨日の悠陽の不可解な行動は次の日にわかった…。
「美羽おはよ!!昨日マジ笑えた~。」
「何が?」
「夜中に『ゴムちょうだい!!』って悠陽が来たから!!」
莉里の部屋に?
それで出てったの!?
だから1回か…。
恥ずかしい!!
でもやっぱり悠陽はカワイイ…。
そんな悠陽も大好きです!!
しかも衣裳が制服…。
ブレザーとか懐かしい!!
「今日はヨロシク。」
「でも何で制服?」
「どう考えても青春って言ったら制服だろうが。」
海で何しろって…。
ネクタイしなきゃ…。
「おっ!!悠陽君カッコイイ。」
「何着ても似合うのは元がイイからっス~。」
「だね!!でもよかったの?髪…。」
「だって蒼斗に間違えられそうだし…。和服モデル終わったからイイ。」
昨日髪を元の金髪に戻した。
そして結構バッサリ切ってしまった!!
失敗!!
超猿みてぇ…。
「カワイイ頭だな悠陽!!猿みてぇ!!」
ほら…。
でも美羽ちんは褒めてくれたし…。
カワイイって言ってくれたし!!
「ハゲ海さんに言われたくない。」
「これはハゲじゃなくてボーズだっつーの。」
だから余計いかついっスよ?
【蒼斗】
怒るかな…。
いや、泣くか?
非常に言いにくい…。
「あのさ…。」
「ん?」
「旅行行けなくなった…。」
「えっ?」
うわぁ…。
ヤバイよな…。
「仕事が入って…。ちょっと県外に…。」
「ヤダ…。」
「マジで…申し訳ない。」
「水族館は?温泉は!?」
「ナシで…。」
「いぃやぁだぁ~~!!」
俺が帰って来てからずっと計画してた旅行だし…。
でも仕事は行かないわけには…。
俺、今究極に立場悪い。
「そのかわり英梨の言う事何でも聞くし!!」
「じゃあ旅行行きたい…。デートしたい…。旅行~…。」
困った…。
でも今回は俺が悪いわけだ。
何としてでも許してもらわなきゃ…。
「英梨が欲しがってたカメレオン買ってやる!!」
「カメレオンそんなに欲しくない…。エイ見に行く方がいい!!」
ダメか…。
英梨のワガママも滅多にねぇ…。
相当行きたかったんだな…。
俺も行きたかったけど仕事だし…。
「旅行…行きたい…。」
「英梨…。マジでごめんな?」
「蒼君の嘘つき!!」
あぁ…。
泣いちゃった…。
マジどうしよ…。
「埋め合わせはちゃんとするから。」
「どうやって!?映画始まって新しいドラマも始まったら蒼君忙しいじゃん!!」
「そうだけど…。」
「出来ない約束なんてしないで!!」
はい…。
でも今回はマジで行けると思ってたから…。
「もう寝る…。」
「ごめん…。」
何とかなんねぇかな…。
なんねぇよな…。
予約してた温泉キャンセルしなければ…。
キャンセルしたくねぇ!!
「ヒロ、今回の仕事俺じゃなくてもいいんじゃね?」
「お前じゃなきゃダメだな。」
「何とかなんねぇかな…。」
「なんね。」
だよな~…。
その日を境に英梨の元気がなくなった…。
学校でもやる気ない…。
「黒崎さん、あなたの番よ?」
「えっ!?あ、すいません…。」
マジで俺のせいだ~…。
少しでも元気にしてやろう…。
「英梨、今からデートしよう?」
「学校…。」
「たまにはサボっても大丈夫だよ。後2時間しかないし。ね?」
「うん…。」
午後から英梨と授業をサボった。
せめてもの償いです…。
「どこ行く?」
「水族館…。」
「じゃ、電車でも乗ってみっか。」
「電車!?」
電車に乗るのは英梨の実家に行った時以来だ。
水族館のあるとこでちょっと遠くに行こう。
「何かこうして制服で電車とか乗ると自分が高校生なのを実感する…。」
「卒業までもう1年ないんだね。」
「だな。卒業したら結婚する?」
「………する。」
事務所とか世間の眼が気になるけど…。
俺は早く英梨を法律で束縛したい。
「そしたら1回家出て2人で住む。」
「出るの!?」
「ん。二人で暮らしてみてぇ。最終的には戻るかもしんないし、アメリカ住むかもだけど。天道家は悠陽か隼人さんに任せよう。」
新婚生活とか味わってみてぇし。
俺の家とか欲しい。
「蒼君、あたし年末年始は仕事入れない…。」
「俺も入れないようにする。そしたら旅行な?」
「うん…。ワガママごめんなさい…。」
いや、今回のは俺が悪い…。
次は何があっても旅行優先にする!!
「エイいるかな!?」
「いるんじゃね?俺、水族館とか撮影以外で行った事ねぇかも。」
「あたしも!!」
たまにデートも楽しい。
英梨が笑顔になってくれてよかった…。
マジで申し訳ねぇけど…。
今日は少しだけでも楽しませてやろう…。
着いた水族館は平日だけあって人もまばら。
「イルカだよ!!」
「見ればわかる…。」
「あたしクラゲ見た~い!!」
デートなんて滅多にしない俺には英梨のはしゃぎっぷりが新鮮に見える。
カワイイって言うよりも愛おしい。
この笑顔をズット見てたいと思う。
「生でクジラ見てみたいね!!」
「そうか?」
「うん。新婚旅行はクジラ見に行こう!!」
「俺船ダメ…。」
「あっ…。」
でもその夢を叶えてやりたくなる。
無理してでも英梨の笑顔が見たいと思ってしまう。
完璧に溺愛…。
「蒼君!!マンボウいた!!」
「ぬいぐるみ!?んなもん部屋に置かねぇからな。」
「記念に欲しい…。」
悲しげな顔は反則…。
しかも何記念だよ…。
「買ってイイ?」
「買ってやるよ…。旅行行けなかったお詫び。」
「うれしぃ~~!!」
また俺の趣味じゃねぇ物が部屋に増える…。
でも最近はそれが落ち着いたりする。
英梨に囲まれて生活してるような気になってちょっとイイ。
「滝川蒼斗君ですよね?」
「あ、はい。」
「デートですか!?」
「まぁそんなとこです。あっ、学校サボッてるんで誰にも言わないでね?」
「言わない!!」
マンボウのぬいぐるみのレジを打ってくれたバイトっぽい女。
俺が笑顔見せただけで顔赤くなっちゃって…。
英梨がヤキモチやくからやめろよ…。
「はい。」
「ありがと~!!蒼君大好き!!」
妬かなかったか…。
ぬいぐるみ効果は絶大らしい。
「じゃ、帰ります?」
「そうだね!!早く部屋戻ってぬいぐるみギュ~したい!!」
カワイイ…。
俺もギュ~~されてぇ…。
「「ただいま~!!」」
「蒼斗、英梨!!何でお前ら電話繋がんねぇんだよ!!」
「あっ、学校サボッて連絡くんのウゼェから切ったまま。」
なんか悠陽が慌ててんだけど…。