ホテルに戻って学園長の部屋で皆で飲む事になった。



いつもはあんまり飲まない美羽がバカみたいに飲んでる…。



何かを忘れるように…。



「おい悠陽…。美羽やべぇぞ…。」

「いつもこんなに飲まねぇのに…。俺部屋に戻りますわ。」

「多分吐くぞこれ…。」

「マジ!?」

「吐くだけ吐かせてやれよ?」



下を向いてさっきからユラユラ揺れてる美羽…。



ヤバイな…。



「ミュー?部屋戻ろ?」

「気持ち悪い…。立てにゃい…。」



連れてくしかないらしい…。



裕介さんに言われた通り部屋に戻ってすぐトイレに連れてった。



「おしっこしない…。」

「ちげぇよ…。吐くなら吐け…。」

「じゃあ吐くから出てって…。」



吐くんだ…。



バスルームを出てテレビをつけた…。



トイレが流れっぱなしだ…。



しばらくして開いたバスルームのドアから美羽が出て来た。



「ミューミュー復活~!!」

「大丈夫か?」

「大丈夫~。ねぇ悠チャン、頭洗うから服脱がせて?」



えっ!?



イイの!?



なかった事にされるのがイヤだからそのまま美羽の服を脱がせた。



「待っててね?」



待ってます…。



ってかどうした美羽!!



酒って怖い…。



「悠陽?歯磨きしよ?」



髪が濡れてる美羽に渡されたハブラシ…。



バスタオル1枚って…。



誘ってんの?



仕方なく歯磨きをしてから部屋に行った。



「乾かして?」

「あい…。」



ドライヤーで美羽の髪を乾かしてやった。



服は着ないの?



「寝よ?」

「俺着替えてねぇ…。」

「じゃあ着替えさせてあげる。」



絶対誘ってますよね?



顔がヤバイエロっ…。



【美羽】



悠陽カッコイイ…。



この肌は何でこんなにスベスベ?



「美羽!?」

「仕返しだよ悠。」



さっきはよくも欲情させてくれましたね。



だから悠陽と同じ事してやった。



「悠陽ってさ…。」

「何!?えっ!?マジ何!?」

「身体エロい。してる時はどんな顔するの?」



見てみたいんだよね。



見つめられたら本当に溶けちゃうのかな?



「見たい?」

「見たい。」

「じゃあキスして?」



いつもなら絶対恥ずかしいのに…。



お酒の力は恐ろしい…。



「美羽はどこがイイ?」

「首ヤバイ…。」



しかも今日は熱い…。



あたしおかしい…。



「あっ!!ちょっと待ってて美羽!!」

「えっ!?」



急に服を着た悠陽は慌ただしく部屋を出て行った…。



裸のあたしは放置でしょうか?



すぐに戻って来た悠陽…。



「何!?」

「美羽は気にしなくてイイっス…。」

「超気になる…。」



何何!?



服脱ぐ前に教えてよ!!



「んっ…。ちょっと悠っ…。」

「気にすんなって…。集中。」



首攻め…。



やめてほしいけどやめないでほしい…。



「美羽…。」

「ふぁ…。」



耳もダメ…。



ってかもうダメ…。



「俺限界…。」

「あたし…も…。」



あぁ…。



久しぶりの悠陽だ…。



顔が見たい…。



目を開けると悠陽があたしを見てた…。



「ヤってる時はこんな…顔。」

「溶ける…。」



見た事ないような悠陽の顔…。



超カワイイ…。



「あんまり余裕ねぇから見んな…。」

「ヤダ…。見てたい…。」



あたしの足に触れるその手も…。



揺れる前髪も…。



あたしをまっすぐ見つめる目も初めて見たかも…。



心臓がキュンってなる…。



「好きっ…。」

「俺も…。」



極上に溶ける~…。



あたしだけの悠陽だ…。



「ぬぁ~…。もうムリ…。」

「ギュッてして…。」

「ん…。」



悠陽最高…。



絶対誰にも譲らない…。



「もう1回する?」

「いや…。もうムリ…。」

「なんで!?」

「取り合えず…。疲れたんでまた明日帰ったらにしましょう…。」



悠陽が変だ…。



いつもならシッポ振って喜ぶくせに…。



でもその後も悠陽はあたしを抱きしめてくれて…。



幸せ気分で眠りについた。



昨日の悠陽の不可解な行動は次の日にわかった…。



「美羽おはよ!!昨日マジ笑えた~。」

「何が?」

「夜中に『ゴムちょうだい!!』って悠陽が来たから!!」



莉里の部屋に?



それで出てったの!?



だから1回か…。



恥ずかしい!!



でもやっぱり悠陽はカワイイ…。



そんな悠陽も大好きです!!



しかも衣裳が制服…。



ブレザーとか懐かしい!!



「今日はヨロシク。」

「でも何で制服?」

「どう考えても青春って言ったら制服だろうが。」



海で何しろって…。



ネクタイしなきゃ…。



「おっ!!悠陽君カッコイイ。」

「何着ても似合うのは元がイイからっス~。」

「だね!!でもよかったの?髪…。」

「だって蒼斗に間違えられそうだし…。和服モデル終わったからイイ。」



昨日髪を元の金髪に戻した。



そして結構バッサリ切ってしまった!!



失敗!!



超猿みてぇ…。



「カワイイ頭だな悠陽!!猿みてぇ!!」



ほら…。



でも美羽ちんは褒めてくれたし…。



カワイイって言ってくれたし!!



「ハゲ海さんに言われたくない。」

「これはハゲじゃなくてボーズだっつーの。」



だから余計いかついっスよ?



【蒼斗】



怒るかな…。



いや、泣くか?



非常に言いにくい…。



「あのさ…。」

「ん?」

「旅行行けなくなった…。」

「えっ?」



うわぁ…。



ヤバイよな…。



「仕事が入って…。ちょっと県外に…。」

「ヤダ…。」

「マジで…申し訳ない。」

「水族館は?温泉は!?」

「ナシで…。」

「いぃやぁだぁ~~!!」



俺が帰って来てからずっと計画してた旅行だし…。



でも仕事は行かないわけには…。



俺、今究極に立場悪い。



「そのかわり英梨の言う事何でも聞くし!!」

「じゃあ旅行行きたい…。デートしたい…。旅行~…。」



困った…。



でも今回は俺が悪いわけだ。



何としてでも許してもらわなきゃ…。



「英梨が欲しがってたカメレオン買ってやる!!」

「カメレオンそんなに欲しくない…。エイ見に行く方がいい!!」



ダメか…。



英梨のワガママも滅多にねぇ…。



相当行きたかったんだな…。



俺も行きたかったけど仕事だし…。



「旅行…行きたい…。」

「英梨…。マジでごめんな?」

「蒼君の嘘つき!!」



あぁ…。



泣いちゃった…。



マジどうしよ…。



「埋め合わせはちゃんとするから。」

「どうやって!?映画始まって新しいドラマも始まったら蒼君忙しいじゃん!!」

「そうだけど…。」

「出来ない約束なんてしないで!!」



はい…。



でも今回はマジで行けると思ってたから…。



「もう寝る…。」

「ごめん…。」



何とかなんねぇかな…。



なんねぇよな…。



予約してた温泉キャンセルしなければ…。



キャンセルしたくねぇ!!



「ヒロ、今回の仕事俺じゃなくてもいいんじゃね?」

「お前じゃなきゃダメだな。」

「何とかなんねぇかな…。」

「なんね。」



だよな~…。



その日を境に英梨の元気がなくなった…。



学校でもやる気ない…。



「黒崎さん、あなたの番よ?」

「えっ!?あ、すいません…。」



マジで俺のせいだ~…。



少しでも元気にしてやろう…。



「英梨、今からデートしよう?」

「学校…。」

「たまにはサボっても大丈夫だよ。後2時間しかないし。ね?」

「うん…。」



午後から英梨と授業をサボった。



せめてもの償いです…。



「どこ行く?」

「水族館…。」

「じゃ、電車でも乗ってみっか。」

「電車!?」



電車に乗るのは英梨の実家に行った時以来だ。



水族館のあるとこでちょっと遠くに行こう。



「何かこうして制服で電車とか乗ると自分が高校生なのを実感する…。」

「卒業までもう1年ないんだね。」

「だな。卒業したら結婚する?」

「………する。」



事務所とか世間の眼が気になるけど…。