【美羽】
朝に目が覚めると枕元にはピンクの紙袋が…。
サンタさん~…。
隣で寝てたはずの悠陽はいなくなってて、一人寂しくその袋を開けた。
中に入ってたのは香水…。
でも香水の瓶には『Miu』って書いてある…。
まさか…。
「悠陽~!!」
「何!?俺今から撮影!!」
「この香水って悠陽が作ったの!?」
「まぁ…。気にいるかわかんないけど…。」
感動…。
悠陽の夢の第一歩だ…。
嬉しくて死ぬ~…。
「ありがとう~…。」
「じゃあ俺は撮影だから。また夕方な?」
「うん。頑張ってね!!」
これはハンパなく嬉しい!!
ママチャンに自慢しよ。
「見てママチャン!!悠陽が作ってくれたの!!超イイ匂い…。」
「へぇ~。美羽っぽいね。よかったじゃん。」
もうニヤケるしかないよね!?
最近のママリンは珍しくパパリンと険悪ムード。
理由はわかってる…。
パパリンが子供欲しいって言ったから。
「サク~、俺の黒フレームのメガネ知らね?」
「存じ上げませんが?仕事の書類だらけの書斎じゃございません?」
「なぁ桜~…。マジでその喋り方やめろよ…。」
「あなたが悪い。」
ママリンは絶対いらないって言ってるのにパパリンも超欲しいって意見を曲げないみたいだ…。
ママリンはキレてるみたいで別々に寝てる…。
このまま離婚とか有り得る!?
「もう一人くらいいてもよくね!?なぁ美羽、お前も兄妹ほしいよな?」
「あたしは…。まぁ…。わかりません…。」
こんなこと初めてだからどうしたらいいかわからない…。
兄妹は欲しくないわけでもないけど独りっ子だったあたしには兄妹ができる意味がよくわからないし…。
困った…。
パパリンも諦めればいいのに…。
「あなたが子育てしてくれるの?」
「は!?俺は働くし。」
「だったらどっちか辞めなきゃいけないってわかるよね?」
「桜が産休取ればよくね!?」
「あたしは仕事してたいの。それともあたしの仕事バカにしてるわけ?」
「してねぇよ!!でも俺のが稼いでるし。」
「そっからもうバカにされてる気分。他の女に産んでもらえば?じゃああたし仕事なんでさようなら。」
こんなママリンは初めて見る…。
あんまりケンカもしないのに…。
「ごめんな美羽~…。」
「本当だよ…。パパリンも諦めなよ。」
「だって俺さぁ、美羽の2歳くらいまで知らねぇし…。まぁそれは俺が選んだ道なんだけど…。でもカワイイんだろうなぁって…。」
パパリンの気持ちもわからなくはナイけど…。
でもあたしはママリンの異見を尊重したいです…。
あたしも今子供欲しいって言われても困るし…。
うん…。
「日向が羨ましい…。4人だぞ4人…。」
「パパリン、ママリンの気持ちも考えてあげなよ…。昔からもういらないって言ってたじゃん…。」
「ですよね~…。もう1回話し合ってみますわ…。」
あたしはどっちでもイイけどね?
きっと子供はムリだと思うよ?
「美羽は仕事か?」
「もう年明けまで休みだよ。今日のAQUA行くんでしょ?」
「行く。日向が引きこもりだから代わりにな。」
「毎年のチャリティーパーティはないの?」
「寧音があれだから。落ち着いたら違う事でやるってよ。」
やっぱり妊娠すると大変なんだよ…。
諦めなさいパパリン!!
「何か…。香水かえたか?」
「わかる!?悠陽がくれたの!!」
「美羽っぽいな。」
ケンカなんてしないでさぁ、今日はクリスマスだよ!?
パパリンも今日は休みらしいから久しぶりにパパリンとお出かけすることにした。
「何か買ってやる?クリスマスだし。」
「新しい服が欲しい!!」
「じゃあ行きますか。」
パパリンは服装も車もオシャレ。
凄い自慢のパパリン。
「こんなに!?」
「買って?」
「まぁクリスマスだしな。」
大量に服を買ってもらった。
次はママリンにあげるクリスマスプレゼントを買いに行きます。
「ママリンね、時計壊れたって言ってた。」
「じゃあ時計買ってやろ。」
「防水のだよ!?」
「了解。」
好き同士でも解り合えない問題はあるんだね…。
早く平和になって欲しいな…。
「今からちょっと付き合えよ?」
「うん。」
パパリンはやっぱり凄いモデルなんです。
仕事がなかったはずなのにスタジオに行くのはやっぱりパパリンが凄いから。
あたしはただ黙ってパパリンの仕事を眺めた。
「だから、そうじゃなくてこう。」
「はい。」
「やっぱり任せっきりには出来ねぇな…。」
何の仕事?
見た事がない新人君?
「パパリン、何の仕事なの?」
「ルイルイプロデュースの企画。アイツスカウトしたの俺。」
「育てるの?」
「まぁな。俺も歳だし。いつ引退するかわかんねぇじゃん?だからいろんな仕事に手出すつもり。」
そっか…。
パパリンも引退とかするんだね…。
あの寧音チャンが引退したんだもんね…。
寂しいな…。
「美羽!?何してんだよ!!」
「何で悠陽!?あたしはパパリンと1日デートだよ。」
「琉伊君にご指名されましたので。手助けですわ。」
やっぱり悠陽は別格。
しかもアメリカから帰って来てから更に凄くなった。
「やっぱり血には敵わんねぇ~…。」
「天道家?」
「そ。」
パパリンも悠陽をちゃんと認めてるんだね。
あたしから見ても悠陽は凄い。
いるだけで悠陽の周りの世界が変わる。
辞めるのはもったいないよね…。
「琉伊君、今からライブなら乗せてって。」
「あぁ。」
今からは楽しい楽しいライブの時間!!
会場に着いたら疾風君と里沙ちんがいた。
「莉里は?」
「まだじゃね?今日は打ち上げ行くよな?」
「行く!!」
去年は行けなかったから今年は行くんだ!!
お酒は飲めないけどね~。
「今日は夜どうするの?」
「ん~…。何も考えてねぇ…。」
「パパリンとママリン二人にしたいからどっか行こう?」
「だな。早く解決するといいんだけど…。」
あれじゃあ悠陽もいずらいよね…。
じゃあどこに行こう…。
「うち来る?蓮チャンと亜香里チャンはいねぇし。」
「うん。寧音チャンも寂しいだろうしね!!」
ケーキでも買って行こう!!
【悠陽】
やっぱりAQUAは最高…。
リーダーは憎たらしいけど…。
でも相当イイ!!
それに初めて会った隼人さんの姉!!
めっちゃ美人だし!!
「悠陽~!!AQUAカッコイイ~!!」
「マジ痺れる!!」
「超ヤバイねぇ~!!」
美羽も去年のライブの後から相当AQUAファンになったみたいだし。
マジカッコイイ!!
莉里の顔が溶けるのもわかる…。
ライブが終わった後にメンバーのとこに行くと、すげぇ熱い!!
「おぉ!!悠陽~!!」
「マジよかった~!!去年より熱かったし!!」
「俺も隼人のテンションの高さにはビビったけどな!!」
そう言う海さんだってかなりイイ感じだと思いますが…。
しかもリーダーと隼人さんの姉が付き合った!?
マジかよクソリーダー!!
ニコニコしやがって…。
俺の裸体を晒した事を忘れたわけではねぇだろうな…。
「悠陽悠陽!!俺の彼女!!」
「よかったな。」
クソリーダー…。
今に見てやがれ。
そして打ち上げ会場に来ると先に来てたファンがいっぱいいた。
男が多い…。
俺と美羽はAQUA専用ソファのとこにあるテーブルのとこ。
「莉里が来たからマジ頑張った~。」
「でも見すぎだよ~。」
「だって超カワイイんだも~ん。」
はいはい…。
要するにラブラブなわけね…。
でも今日仕事中に莉里から電話が来た…。
『多分今日隼人と結婚するから。』
って。
かなりビックリした。
でも、莉里がそうやって結婚する前に俺に電話をくれたのは嬉しい。
やっぱり莉里は俺の分身だな。
俺も美羽と結婚する時は莉里にちゃんと言うからな?
そん時は祝ってもらおう。