いい加減泣きやまないあたしの涙を手で拭いてくれた蒼君はそのまま目にキスをした。
「もう泣かないの。ブサイク。」
「ブサイクじゃないもん…。」
「じゃあ泣き止め。」
物凄く優しい蒼君に慰められてやっと止まった涙。
ニコッと笑った蒼君にギュッと抱き着いた。
「好きだよぉ~…。」
「ん。わかってる。」
「早く帰って来てね…。」
「帰るから。いい子にして待ってろよ?」
「うん…。」
やっぱり離れなきゃいけない時間はくるみたいで…。
1日しかいれなかったけど凄く幸せだった…。
「忘れ物してねぇよな?」
「したよ…。」
「マジ!?今から戻っても間に合わねぇよ!?何忘れた!?後送るから。」
「蒼君忘れた…。」
「………4ヶ月後に郵送する。」
「うん…。」
そのまま腕で頭を包みこむように覆われてキスされた。
きっと写真撮られても見えないようにだ…。
ここは日本人が多い…。
「スグ帰るから。もう泣くな。」
「ん…。」
「笑った顔のがカワイイ。」
「うん…。」
「毎日電話する。風邪とかひくなよ?たまには実家帰れな?」
「うん…。」
「無理すんなよ…。」
「う…ん。蒼君…。時間…。」
身体を離された寂しさよりも蒼君があたしを心配してくれてるのが嬉しかった。
もう泣かないで春まで待ってる。
「蒼君、帰ってきたら褒めてね!?」
「うん。」
「じゃ…。待ってるね?」
「おぅ。じゃあまた。日本に着いたら…」
「電話する。じゃあね!!」
寂しいけど仕方ない…。
あと少し耐えたらズット一緒にいれる。
それまで頑張ろうね!!
時間が早く過ぎるようにあたしもいっぱい頑張るからね!!
それから飛行機に乗ってやっと日本についた。
「何で社長!?」
「ヒマだから。ってか蒼斗は元気だったか?」
「うん!!超絶好調だったよ!!」
空港に迎えに来てくれた社長。
あたしと蒼君を心配してくれてるんだ。
この前のアメリカではろくなことなかったからかな?
「さて、英梨にはガッツリ働いてもらわなきゃな。」
「うん!!いっぱい仕事入れてね!!超頑張るから!!」
「あいよ。じゃ、今から事務所の親睦会行きますよ~。」
何それ!?
そう思ったけど社長に着いて行った。
パーティ!?
「恭一さんだ!!お久しぶりです!!」
「おぉ、蒼斗どうだった?」
「元気だったよ!!」
「そりゃよかった。」
恭一さんも知ってたんだね。
あたしが蒼君に会いに行った事。
「英梨チャ~ン!!」
「久しぶり樹奈さん!!」
皆いるんだね!!
でも何で親睦会?
「樹奈さん、何なのこの会…。」
「忘年会みたいな感じ?」
樹奈さんもわかってないらしい…。
でもまぁイイか!!
「英梨。」
「洋平君!!」
「恭一さんすげぇ怖かった~…。ってか大御所さん達のあの貫禄はマジヤバイ…。」
「そうだね~。」
でもあたしのが偉いんだも~ん。
それくらい忙しいけど…。
そんなに年配の人がいる事務所じゃないしね!!
「それよりイイ恋見つかった?」
「まぁね。樹奈さんの友達とイイ感じ。でも樹奈さんも俺の友達とイイ感じだから。」
よかったじゃん!!
これでやっと年を越せる~…。
「英梨~。ちょっと来なさい。」
「何?」
「コレ。」
ん?
きゃぁぁぁぁぁ!!
「社長…。ごめんなさい…。」
「マジで。軽率過ぎ…。」
さっそく流出!?
見せられた写真は蒼君との路上チュウ…。
アメリカに行ってまで撮られるって…。
最悪…。
「揉み消すかシカトするか。」
「消してください…。」
「まぁ俺的にもお前と蒼斗のイメージは壊したくないからな。」
「いくらかかるの?」
「さぁな。交渉次第。でも他の週刊誌に回る前にうちに回ってきたからそんなにかかんねぇと思う。」
「本当にごめんなさい…。」
「まぁ蒼斗に払わせるからイイか。」
外でイチャつくもんじゃない…。
社長には感謝してもしたりないよ…。
本当に世話かけます…。
「でもこの写真のキスシーンはたまらなく絵になってんな。雰囲気がイイ。」
「それはあたしも思う。」
周りの背景とか結構イイ感じ…。
貰っちゃおう。
「コイツ写真家向きじゃね?」
「かもね。」
「丸く収まりそうだな。じゃ、料理食えよ~。」
何か企んでる?
それから数日後、あたしと蒼君のキスシーンを撮った人が疾風さんの弟子になった…。
で!?
あの写真は!?
「全く金もかからずにスムーズな話し合いだったよ英梨。」
さすが社長…。
しかもデータをちゃんと回収してて…。
凄いです…。
「もうキスとか絶対外でしねぇ…。」
「出来ないね!!」
「でもやってくれんなヒロは。」
「だね。よかった~ヒロさんが社長で。」
「そうじゃなきゃ俺は俳優なんかしてないしな。」
「でもこの写真見てると早く会いたくなる…。」
「大丈夫だ。スグ帰るからな?」
「うん。蒼君超好き!!」
「俺も超好き!!」
あたし達のキューピッドはもしかしてヒロさんだったりするのかも…。
結婚の時は是非仲人をお願いしよう。
それより今…。
早く帰って来ないかな~…。
泣かないで待ってるね!!
【莉里】
今日は隼人達のクリスマスライブ~!!
あれはテンションがヤバイあがるんだよね!!
英梨と蒼斗が行けないのが残念だけど…。
「あたしも行きたい~…。」
「寧音チャンが行けるわけないじゃん…。妊婦はお留守番~。ヒナ君も留守番だし。ラブラブしてなよ。」
「うん…。」
じゃあ莉里は仕事してきま~す!!
今日は悠陽達も来るみたいだし!!
楽しみ~!!
「おっはよ~!!」
「Ririさんテンション高っ!!何かイイ事あったんですか?」
「あったって言うか今日ライブなの~!!1年ぶり!!」
「そっか!!いいなぁ~…。AQUAのクリスマス~…。あたしも行きたいです…。」
でもムリなんだなぁ~。
チケットは数秒でなくなっちゃうもん。
知り合い以外は取るのムリだね。
だから莉里は幸せ者だ!!
そりゃあ仕事にもハリがでるわけで。
「すっごくイイよRiriチャン。」
えへへ~!!
夜はだってAQUAだも~ん!!
でもその前に莉里は約束があるんです!!
「莉里チャン!!」
「おまたせみらいさん!!」
「そんなに待ってないよ!!行こう!!」
隼人のお姉チャンと買い物~!!
その後は一緒にライブ行くんだけどね!!
「みらいさんも打ち上げ行くの?」
「うん。さと君が来て欲しいって言うから…。」
「完璧食われるよ。」
「えっ!?食われる!?どう言う意味!?」
わからないのか…。
アメリカ育ちだからだね。
まぁイイや。
「莉里チャン、このブーツカワイイ!!」
「あっ、それ莉里持ってる。履きやすいよ。」
「じゃあ買っちゃお~。」
みらいさんは働いてるけどお父さんの遺産とかでお金持ちっぽい…。
悟さんとはどうなったんだろ…。
「ご飯食べてから行く?」
「うん。莉里腹減った。」
「じゃあどっかオススメある?」
「パパチャンの店行く?」
「行く~!!」
まだ16時半だ…。
空いてないかも~…。
「やっぱり閉まってる…。」
「他に行く?」
「でも他に行ったら遠くなっちゃう…。」
「どうする?」
強行突破。
入り口は空いてるしね。
「柊太君~。いる?」
「莉里!?どうした!?まだ店やってねぇけど…。」
「メシ食わせろ。」
「まぁ座れ。適当でイイよな?」
「うん!!」
柊太君は優しいな…。
そしてみらいさん、キョロキョロし過ぎだよ?
「どうかした?」
「イケメンが掃除中…。」
「ケンジじゃん。あれはイケメンだけど莉里の兄が好きなんだよ~。」
「兄!?ゲイ!?」
うん…。
多分…。