兄妹のその辺は知らなくてイイや…。



「そう言えば莉里と悠陽って酔っ払った勢いで出来た子なんだって。」

「は!?何それ!?」

「寧音チャンが言ってた。今回もそんな感じかな?」

「まさか~…。でもあの香水…。」



香水?



何の事かわかんない。



「悠陽はどう思う?兄妹出来るの。」

「別に普通。俺ガキ苦手だし。」

「うそだぁぁぁ!!莉里は妹がいいな。悠陽は?」

「どっちでもいい。元気なら…。」



そっか。



やっぱり悠陽も嬉しいんだね。



早く赤ちゃん元気になんないかな…。



「寧音も引退だな。」

「ヤダな…。」

「莉里が後継ぎだろ?」

「莉里が!?ムリでしょ!!」

「日向も寧音も期待してる。俺と莉里は違うから。産まれ持った素質が違う。」

「悠陽は本当に社長になるの?」

「なる。高校出たら亜香里チャンの仕事手伝いながら大学行こうと思ってるし。」



凄いな悠陽…。



莉里はまだそこまで考えてない…。



もう違う道進むんだね…。



何か寂しい…。



「珍しい組み合わせだな。」

「中先だ。今日は奥さんの愛妻弁当じゃないの?」

「なんか風邪ひいたっぽいから寝せといた。」

「奥さんには優しいんだね。」

「当たり前だ。女神だからな。それより、お前らちゃんと学祭やれよ?」

「やるよ~。」



この教師も奥さんにデレデレか…。



隼人もそうなるのかな?



「天道、学祭前の三者面談誰くんだ?」

「あっ…。母親入院したから親父じゃね?」

「親父ってモデルのか!?」

「おぅ。じいさんもそれ系だ。ばあさんはムリだろうな。」

「そうか…。ところで桜井の親はどうなるんだ?まぁあいつは自分で学費出してるし問題ねぇけど…。」



そっか…。



隼人のパパさんは来れないもんね。



やっぱりヒナ君?



「ヒナ君が来ると思うよ。」

「お前らの親父?」

「そう。」



多分そうだよね?



家に帰ってからその事を隼人に話した。



「そんなのあんの!?」

「うん。ヒナ君に頼む?」

「そうする。って事はさとママとか海ママも来るのかな!?」

「基本はそうじゃない?」

「久しぶりに会えるかも~!!」



そっか。



AQUAは昔から仲良しなんだよね。



「ねぇ隼人、パパさんに会わないの?」

「予定はないかな?でも会いに来いってうるさい。」

「行ったらいいじゃん。」

「恥ずかしいじゃん!!俺達韓国進出も控えてるし。」

「そうなの!?」

「うん。まだ先のはなしだけどね。」



段々隼人が大きくなっちゃう~…。



でも莉里のだもん…。



隼人にワガママ言っていいのは莉里だけ!!



だからワガママ言っちゃえ。



「隼人に白衣着せたいな。」

「白衣!?」

「学祭で。メガネかけて白衣着てね!!で、タコ焼き焼いてね?」

「お望みならば。」



やっぱり隼人大好きだ!!



【悠陽】



寧音の体調はよくなった。



でも子供はまだわからないらしい…。



入院してから3週間…。



前程責任を感じなくなったけど、アメリカ行きで揉めた事は俺達が間違ってた。



1週間後には学祭があって…。



今の楽しみは美羽にコスプレさせる事だ。



「絶対着ない!!悠陽の前でメイドとか超ムリ!!」

「コスって言ったらメイドだろ!!」

「ヤダヤダヤダ!!」



俺の楽しみを奪うつもりか!?



こうなったらコス先輩に相談。



「琉伊君は何が1番萌える!?」

「俺の服。」

「服!?」

「たまにサクに着せんだよ。Yシャツとかトレーナーとか。マジやべぇ!!」



それはプレイが始まる前では?



娘の彼氏に吹き込むな…。



しかも今自粛中なのに…。



3月まで我慢するって決めたのに!!



でも1回約束破ったけど…。



まぁそれは内緒で。



「隼人さんはドクターなんだって。」

「お前は?」

「決めてねぇ。」

「おめぇは全身タイツでも着て美羽に幻滅されちまえ。」



バカか…。



ってかマジで自分の事考えてなかったな…。



その日のうちに美羽に相談した。



ってか俺、半同棲どころか週1も自分ちに帰ってねぇ。



「美羽、俺何着ればイイ?」

「スーツ!!スーツゥ~!!」

「美羽ってスーツ好きなのか?」

「好き!!でも見れないようなのも見たい…。ガテン系とか?」



ニッカ履いてタオル被れと?



ムリだ。



「却下。」

「じゃあサラリーマン。メガネかけてね?」

「美羽は浴衣でいいや。萌えるから。」

「でもしない約束だよ?」



わかってるっつーの…。



毎日が拷問…。



そして学祭前の三者面談。



「はじめまして。息子がいつもお世話になってます。」

「いえいえ、本当に悠陽君は生意気なクソガキですね。」

「ハッキリ言いますね先生…。まぁ家でもそんな感じです。でも私に似て頭と顔だけはいいんですよ。」



けなしまくってねぇか?



寧音が来るよりマシかもな…。



しかも日向のが年上なのに遥かに下に見える。



「そうですね、成績は生意気なくせに学年2位です。」

「1位は?」

「お宅の娘さんですよ。」

「なるほど。生活態度はどうでしょう?」

「口答えしかしないですね~。でも仕事にも将来にも真っすぐでイイと思いますよ?」



褒めた…。



明日は確実に雨だな。



「天道は何大目指してんだ?」

「S大の経済学部。」

「本気か!?この学園からS大は前例が…。」

「俺が受かんねぇわけねぇだろ。」

「俺じゃ教えられない域だから塾でも通った方が身の為だ。」



自力でやるし。



まぁ俺はやれば出来る。



「大和君!!俺も一緒に面談しちゃってよ!!時間ないんだ!!」

「まぁいいか。お前どうせ卒業出来るし。座れ。」

「ありがと!!桜井隼人です。将来の夢は莉里と結婚して日向さん達の老後の面倒見ることです!!」

「聞いてねぇし自己紹介してんなよ…。」

「以上!!もうイイ!?俺仕事行くね!?」

「はいはい…。」



俺ももういいかな…。



話す事ねぇだろ…。



「桜井は天道さんちに住んでるんですか?」

「あぁ、住んでますよ。悠陽は美羽の家から帰ってきませんし。本人の事は本人で決めるそうですから。もう干渉しないんです。一回地獄に落ちやがれって感じですかね?」



まだ怒ってんのかよ…。



アメリカ行き決めた事…。



「私も同感です。」

「気が合いますね先生。」

「そうですねお父さん。」



何回も謝っただろ~…。



日向も結構ガキだな…。



「大人げねぇぞ日向。」

「ガキのくせに勝手に決めんなよ。」

「自分で仕事選んでんのなんて中学ん時からだろ。キレられても今更だし。」

「海外くらい相談してもいいんじゃねぇの!?写真集の時は頭下げたくせに。」

「じゃあ言わせてもらうけど。日向さん、自分だって好き勝手やってたじゃないですか。」

「何だそれ。バカにしてんのか?」

「してるっつーの!!何回話し合ったんだよ!!」

「おめぇうるせぇ。勝手にしろクソ息子。」



あぁムカつく!!



寧音より頭わりぃんじゃねぇの!?



「ケンカすんなよ…。たまにいるんですよね~面談中のケンカ。」

「すいませんね先生。そろそろ時間ですよね?娘のとこに行きます。」

「えぇ、本日はお忙しい中ありがとうございました。」

「いえ、これからもよろしくお願いします。なんなら根性叩き直してやってください。」



マジムカつく…。



でもこの状況で家に帰ってない俺も悪い。



だけどこんな調子なら家帰ってもケンカだよな!?



久しぶりに寧音んとこ行こう…。



病院の前で5分程悩んでから中に入った。



「寧音~。」

「ヒナ?って悠陽か。珍し~。日向の声かと思った。」

「似てねぇだろ。」

「似てるよ。顔も声も身長も。やっぱり親子だね。」

「なぁ寧音、日向と話すとケンカになんだけど…。」

「アメリカの事?」

「そ。」



反対してくるわけじゃねぇのに何であんなに突っ掛かってくんだよ…。



マジ意味わかんねぇ。



「寂しいんじゃない?今はあたしもこんなだし、莉里も悠陽もいなかったら。日向一人になった気分になるんじゃない?」

「ん~…。わかんねぇ…。」

「あたしの事もあるから今苛立ってると思う。日向って結構メンタル弱いから。子供だね~…。悠陽に八つ当たりなんて。」



八つ当たり…。