でもこれが蒼君だ…。



大好き!!



疲れ果てて眠ったら蒼君の体温があたしを包み込むのがわかった。



幸せ…。



眩しい陽射しに起こされたあたしが最初に目にしたのは蒼君の笑顔。



「ダルくね?」

「うん…。おはよ…。」

「起きんのおせぇよ。」



蒼君はもう着替えてて、髪もちゃんとセットされてた。



陽射しより眩しい…。



「残念なお知らせ。」

「何?」

「今から帰る。」



えぇぇぇぇぇ!?



夜までいるんじゃなかったの!?



「呼び出されたから帰らなきゃダメっぽい。」

「そっか…。仕方ないね…。だったら早く起こしてよ~!!」

「寝顔可愛かったから起こすのもったいなかった。」



蒼君!?



カワイイとか好きとか…。



言い過ぎだよ…。



嬉しいけど離れがたくなる…。



「なぁ、これちょうだい?」

「これ!?」



蒼君が指さしたあたしのネックレス。



1つは最近買ったやつでもう一つは蒼君と付き合う前からズットつけてるやつ…。



「なんで?」

「英梨の物身につけてたい。」

「じゃあ蒼君のと交換して?」

「ヤダ。これ蓮さんが作ってくれたやつだから。」

「じゃああたしのもあげない…。」

「こっちやるよ。」



そう言って外してくれた指輪。



それイイの!?



「大事にしてた指輪じゃん…。」

「英梨に貸しといてやる。だからちゃんと返せよ?」



ネックレスより大事なんだと思う。



外してくれた指輪の裏には4年前の蒼君の誕生日が刻まれてた。



「じゃあ俺はこっちを人質にしますわ。」



そう言って昔からしてるネックレスを外した。



それから新しいのも外してから蒼君の指輪をネックレスに通してくれた。



人質か…。



ズット好きでいろって事だよね?



あたしのネックレスをつけた蒼君は満足した様子であたしのオデコにキスをした。



そのまま引き寄せられてギュッと抱きしめられた。



「もう行かなきゃ…。」

「見送り行くから離して!!着替えなき…。」

「来なくていい。来たらそのまま連れてっちゃうだろ~。英梨の泣き顔も見たくねぇしな。」



もう泣きそうだもん…。



また明日から味わえないこの感触に頭がついていかない…。



そばにいたくて仕方ない…。



「行ってきます。」

「行って…らっしゃい!!。」



笑顔で別れなきゃ…。



今回は不安な別れじゃない。



この指輪と蒼君の愛情があるからもう大丈夫。



「ただいま蓮さん!!」

「よぉ。蒼斗行ったのか?」

「うん!!今日からまたお世話になります!!」

「あいよ。」



あたしはもう泣かない。



寂しくないよ。



ちゃんと地に足つけて待ってるから。



いってらっしゃい蒼君!!



【隼人】



今日も莉里タンカワイイ…。



チュウしたいチュウしたいチュウしたい。



しちゃえ。



「おいコラ!!何してんだよ桜井!!」

「チュウしただけ…。」

「今は生徒会!!何ならお前代表で実行委員長やるか?」

「ヤダ。ごめんなさい…。」



相変わらずうるさい先生…。



でも大和君は好きだけどね。



「じゃあ莉里と桜井で学祭委員会まとめろよ。」

「莉里って呼ばないでよ中先。」

「天道ばっかりだからしかたねぇだろ。」

「『莉里チャン』って呼びなよ。ってか呼べ。」

「黙れメス猫。」

「ひど~い!!エロ教師のくせに!!莉里やんないよ。アメリカ行きで忙しいから。」



そう…。



学祭が終わったら俺と莉里は離ればなれ~…。



考えただけで泣けてくる…。



「じゃあ桜井と誰か。」

「待って!!俺もやんない!!」

「なんでだよ。」

「莉里にゃんのそばにいたいから。」

「却下。」



なんでぇぇぇぇ~…。



だって仕事と学校プラス生徒会プラス委員会なんてしたら忙しくて莉里に触れないじゃん!!



「大和君、取引しよう。」

「なんのだよ。」

「クリスマスライブ夫婦でご招待。」

「取引成立。」



やった!!



さすが適当教師だね!!



たしか奥さん俺達のファンらしいし!!



「じゃあヒマそうな池内と森田だな。」

「あたし!?何でゲイと!?」

「だってお前仕事してねぇだろ。」

「だけど池内嫌い~!!」



駄々っ子モリリンの反抗も虚しく、真面目なケンジ君とヒマなモリリンが生徒会からの学祭実行委員になった。



海の不満そうな顔…。



そういえば付き合ったのかな?



「そこで。生徒会は毎年何か店出してるらしいから今年もやれ。」

「みんな、去年と同じでイイよね?」



さすが会長。



最近は議論しないで全部例年通りの仕事をしてる。



裕介とはどうなったんだろ?



そんな事より去年の生徒会の内容が…。



『女装パブ』



パブってナイよね!?



パブって何!?



パブ…。



「隼人の女装は見てみた~い。」

「ヤダ…。俺男だもん…。」

「莉里が化粧してあげる~。」



ならいいや。



ってか莉里が乗り気なら何でもいい。



「パブって何するの?」

「よくわからないけどキャバとかと同じでしょ?」

「まぁ何でもイイや。」



後はクラスで仮装タコ焼き屋やって、莉里たんとラブラブしたら終わりだ。



学祭とか中学の時サボりまくってたから初めて!!



「隼人、仕事行く時間。」

「あ、うん。じゃあね莉里。」



またチュウして席を立った。



視線が痛い。



「桜井…。お前何人だよ…。」

「フランス人。じゃあね大和君。」



怒られる前に退散!!



さて、仕事仕事!!



迎えの車に皆で乗り込んだ。



「なぁ、猫ってアメリカ行くのか?」

「うん。1ヶ月だけね。悠陽君と二人の写真集出すんだって。世界一有名なカメラマンのご指名らしい。」

「大丈夫か?」

「俺!?大丈夫だに~。」

「ならいいけど…。」



そう言って心配してくれるメンバーはやっぱり俺の家族だ。



でも気になる事が…。



「みらいさんとどうなった?」

「特に…。」

「手出した?」

「隼人怖い…。」

「出した?」

「はい…。」



俺キレるよ?



大事な姉を…。



「でも!!俺マジです…。」

「えっ?」

「みらいチャンのが落ちねぇんじゃねぇかと…。」



何で!?



あの後悟に何があったの!?



悟がマジ!?



「頭おかしくなった?」

「なんでだよ…。」

「だって悟が恋とか…。」

「俺だって恋くらい…。でも元彼に未練あるっぽいし…。」



何その顔…。



悟が照れてる…。



どうにか報われて欲しいと思う半面、姉と言う複雑な感じ…。



「まぁ隼人関係ナシで頑張るわ。」

「うん。頑張れ悟…。」



悟にも春が来るといいな…。



海チャンは?



「海はモリリンとどうなったの?」

「俺の話しはいいから…。」

「どうなったの?」

「隼人怖い…。」

「3回言わせる気?ちなみに海の顔のが怖いよ?」

「付き合いました…。」



おぉぉぉぉ!!



やったじゃんモリリン!!



「その事莉里知らないの!?」

「知らない…。内密に…。カナに迷惑かけたくねぇから…。ライブも呼ばねぇし打ち上げも呼ばねぇから。一般人だし。」



仁君なんて超禁断なのに堂々としてるのに…。



海は偉いね…。



「裕介は?会長落ちた?」

「まだまだだな…。ってかフラれた…。」



フラれた!?



裕介が!?



会長手強いんだ…。



「まぁ諦めねぇよ?」

「そっか。頑張れ裕介。」



皆恋しとりますなぁ。



AQUAの春だね。



それから仕事をした俺はメンバーとご飯を食べて莉里の元へ帰った。



「ジュン!!ただいま!!」

「にゃ。」



ジュンが日に日に大きくなっててカワイイ…。



ってかまだ誰もいないのかな…。



部屋に荷物を置いてキッチンの冷蔵庫に向かおうとした。



えっ!?



「寧音さん!?寧音さん!!」



キッチンで倒れてる寧音さんがいた…。



取り合えず救急車!?



でも呼んでイイのかわからない…。



この家は極度に騒ぎを嫌がるから…。



「寧音さん!!」



でもそんな事考えてるヒマもなさそうなので救急車を呼んだ。



6、7分後に来た救急隊の人に運ばれて救急車に乗った寧音さん…。



顔色が…。



病院について中に入った寧音さんを確認してから日向さんに電話をかけた。