どれくらい寝てたのかわからないけど、隼人のタバコの匂いで目を覚ました。



薄暗い部屋…。



「隼人?」

「おはよ。」

「ん。何時?」

「17時だよ。」



ん?



お昼ご飯食べてない…。



しかもレジェには…。



「ヤバッ!!17時半にレジェだよ!!」

「そうなの?じゃあ早く準備すれば?」

「何で起こしてくれなかったの~…。」



慌ただしく化粧を直して服を着替えた。



隼人がリビングで待ってる。



「行こう!!」

「うん。でも俺飲みたいからタクシー呼んだからね。」

「もう来てる!?早く行かなきゃ寧音チャンに怒られる~!!」



遅刻したら絶対怒るよね!?



外に待ってたタクシーに乗ってレジェに向かった。



隼人はバレないように帽子を深めに被ってる。



運転手さんにバレないようにこっそり手をつないだ。


レジェ前に降りて中に入るとみんな来てた。



「おせぇから。」

「だって莉里が寝ちゃってたんだもん。」

「は!?お前の部屋でか!?」

「うん。ごめんね日向さん。」



何でそんな『ヤってきました』みたいな言い方するの…。



しかも彼女の親に…。



「ほどほどに…。」

「は~い。」



ヒナ君もそんなバカ正直に言われたら何も言えないみたいだ…。



それからは皆でレジェのご飯を食べた。



「莉里チャン、お久しぶりです。」

「慎也君!!」

「あ、初めまして。隼人さんですよね?私、レジェのエリアマネージャーをしてる慎也と言います。」



久しぶりに会った慎也君は何もかわらない!!



慎也君の雰囲気は多分隼人より落ち着いてる。



「あ、初めまして。桜井です。もしかして…。高岡慎也さんですか?」

「えっ!?何で…。」

「多分あなたの中学校の後輩です。伝説の方ですから。」

「それは…。禁句でお願いします。」



何!?



何が伝説なの!?


変なところで繋がってたみたいだ…。



「まさかあの慎也さんだとは思わなかったな~!!会えるなんてビックリ。メンバーに教えてやろ~。」

「何が伝説なの!?」

「ん?伝説のサーファーってとこかな?」



腑に落ちないけど納得しとく…。



それからされたレジェの勧誘。



16になったら働いて欲しいって。



「隼人の意見が聞きたい。」

「ん~…。休み合わせてくれるならOKかな。」

「じゃあ働く!!美羽も悠陽もやるかな!?」

「楽しそうだね。」

「だってレジェの服カワイイんだもん!!」



知ってる人ばっかりだし!!



父親がオーナーだから安心して働ける!!



高校生になると幅が広がるんだね!!



「あ、明日生徒会の何かあるみたいだから莉里も入ってね?」

「ヤダ!!莉里は何もやんないもん!!」

「生徒会室ってサボリに最適らしいよ?エアコン完備だし。」



やろうかな…。



明日からは隼人と夢の高校生ライフ!!


【悠陽】



最近のマジで忙しい状況の中での入学式。



何かマジでハマってきてしまったモデル業…。



でも俺は亜香里チャンの会社を継ぐっていってしまった…。




俺が本気でやってるから最近マジで美羽に会えてない…。




そのせいで美羽が怒ったので俺は今日朝早く起きて新しい制服を着て美羽のもとへ…。



「おはよう琉伊君…。」

「なんだよ…。朝から悠陽かよ…。」

「美羽たん超怒ったんだもん…。」

「お前が忙しいからか?」

「そう…。仕事入れ過ぎかな…。」

「んなことねぇだろ。美羽の理解が足んねぇ。」



珍しく琉伊君が俺に見方した…。



今日は雪でも振るんじゃないか?



家に入ってサクチャンに挨拶してから美羽の部屋に行った。



ノックすると聞こえてくる可愛い声…。



「おはよう悠陽!!制服やばーい!!」

「朝からテンション高ぇな…。」

「だって今日は入学式だもん!!同じクラスになれるとイイね!!」



全くだ。


俺と美羽って同じクラスになったことがない…。



小学校も幼稚園も…。



なのに今まで仲良くやってこれたのはマジで運命…。



「美羽はまだ着替えねぇの?」

「着替えたいんだけど…。」



ん?



それは俺に出てけって視線か?



今更着替えくらい…。



「出てきま~す…。俺リビングにいるから。」

「うん。終わったら髪巻いてくれる?」

「サクチャンに頼めよ…。」

「悠陽のがうまいもん。」



そんな上目使いで言われちゃ仕方ねぇ…。



それから俺はリビングでサクチャンの入れたコーヒーを飲んだ。



マジでレジェの味。



流石二人目のエリアマネージャー…。



今日もレジェで俺たちの入学祝するって言ってたし。



だから仕事は久しぶりに休み。



「琉伊君、俺少し寝たいんだけど美羽来たら起こして…。」

「おう。寝とけ。お前も蓮君似で身体弱いな~。」



全くだ…。



俺ってそんなに丈夫じゃない。



これはきっと日向じゃなくて蓮チャンの遺伝…。

たまにふらふらするけど今は仕事が楽しくて仕方ない…。



このまま突っ走ったら日向を超えられるんじゃないかとか思ってしまう…。



最近は蓮チャンも俺を認めてくれてるみたいだ。



目を閉じると勝手に襲ってくる睡魔…。



「悠陽、美羽に何か言ってやれ。」

「もう来たんかよ…。」



ほんの少ししか寝てない…。



振りかえってみたらマジでかわいい美羽が立ってた。



制服似合う…。



俺、欲情…。



「似合う?」

「マジ似合う!!最高カワイイ!!」

「そんなに笑顔でほめないで…。照れる…。」



待て、褒めといて俺も照れる…。



でもマジでかわいい美羽を誰にも見せたくないと思った。



「送ってってやる?」

「歩いて行く!!」

「そうか。じゃ、夜な。俺は仕事行ってきます。」



琉伊君の申し出を断ったのは美羽と手繋いで歩きたいから。


マジで俺のって世間に見せつけたい。



「サクチャン、行ってくるね。」

「はーい。行ってらっしゃい!!あ、写真撮ってあげる!!」



サクチャンが撮ってくれた写真でまた照れた。



それから家を出て強制的に繋いだ手にまたまた照れる…。



俺顔赤いかも…。



「制服デートとかしたいね?」

「するし。美羽がしたい事は全部する。」

「悠陽大好き!!」



俺も美羽かなり好き…。



美羽の手ってマジでちっちゃくて可愛い…。



俺マジで美羽病…。



「今日はヒナ君とか来るの?」

「いつもながら今日も二人とも仕事ですわ。」

「じゃあ蓮チャン?」

「そう。たぶんって言ってたけどあの人は絶対来る。っていうかマジで眠い…。」

「仕事しすぎなんだよ!!もう少し減らせばいいのに…。」



やっぱり怒ってるのだろうか…。



俺が仕事すんのいやなのか?



「俺の仕事嫌い?」

「嫌いじゃないもん…。仕事してる悠陽カッコイイし…。」

「だったら文句言うな。」

「なにそれ。超ムカつく。」



マジで?



てか手離された…。



でもマジでそうじゃね?


仕事なんて生まれてすぐにしてたのに…。



今更嫌いとか言われても困るけど…。



「何か亭主関白みたいでムカつく。」

「だって仕方ねぇだろ。忙しいもんは…。」

「だったら聞くけどあたしと仕事だったらどっちとる?」



そんなの聞くまでもなく…。



美羽だよな?



美羽って言え!!



俺の口!!


「わかんね。別もん。」



何言ってんだよマジで!!



ウソでもいいから『美羽だよ。』って言っとけばよかった…。



「そうですか。じゃあ悠陽は仕事続けるなら別れるって言ったら仕事とるんだね。」

「そんな話してねぇだろ。大袈裟すぎっから。」

「寂しくて他の人に靡いても知らないからね!!」



待てよ美羽!!



お前そこまで悩んでたわけ?



「だったら仕事何てやめてやるよ。ずっと一緒にいたら満足なんだろ?」

「……………。」

「何とか言えば?」

「いつからそんなに仕事人間になったの…。」

「わかんねぇよ。いつの間にかハマってた…。」

「別れないもん…。何があっても悠陽が好きだもん…。」

「はぁ…。時間はちゃんと作るから…。ごめんな?」

「イイもん!!あたしもモデルしてやる」



はぁ!?



なんかマジっぽいんだけど…。



「美羽が仕事すんのヤダ…。」

「何で悠陽にそんな事言われるの?自分だけずるい。」



そう言われると何も言えない…。



自分ばっかり好きな事出来ねぇよな…。



「マジでする気?」

「するよ。」



うぅぅぅ~…。



モテるだろ~…。



そんな俺のモヤモヤは解消されないままクラス発表を見に行った。



「悠陽~!!同じクラスだよ!!」

「マジか!!やっとだな!!」

「莉里とは離れたけど…。しかも隼人さんも一緒だよ!!」

「それ嬉しい!!もう来てっかな?」

「教室行こう!!」



隼人さんが同じクラスとかってテンション上がる!!



忙しい俺と隼人さんは家にいてもあんまり合わないし。



美羽と手を繋いで教室に入って席順を見ると俺の席からは美羽の後ろ姿がバッチリ見える。



しかも隼人さんは俺の前の前。