まぁそこは聞き流そう…。
知らなくていい事だと思うしまた喧嘩しちゃいそう…。
「そこでなんだけど…。」
「なぁに?」
「イヤならイヤって言ってな?美羽の本心を聞きたいから。」
「だから何?」
「1ヶ月アメリカ行く話しが出てるんだよ俺。」
えっ!?
アメリカ!?
1ヶ月…。
「俺、美羽と付き合う前に琉伊君と約束したんだ。美羽を悲しませないって。寂しい思いもさせないって…。だからお前がイヤなら行かない。」
待ってよ…。
それはあたしが決めてイイことじゃない…。
「悠陽は行きたいの?」
「まぁ…。世界ってのを見てみたい気はするかな…。」
行きたいっぽい…。
寂しいし泣くかもしれないし…。
蒼斗達みたいに距離と気持ちが一緒に離れたりしたら…。
怖いよね…。
悠陽といれなくなるのはイヤだ…。
でも悠陽は会社の跡継ぎ…。
いずれ辞めてしまうモデルに未練を残させたくない。
「行ってきてイイよ!!」
「寂しくねぇ?」
「寂しいけど…。たかが1ヶ月の距離に耐えられなかったら悠陽との恋は偽物の気がするもん…。」
「美羽…。」
「行って来なよ。あたしは悠陽だけ見て待ってるから。」
悠陽の夢はあたしの夢でもある。
あたしに夢が出来たら、あたしの夢も応援してもらいたい。
「美羽泣く?」
「泣かない~。悠が戻って来るまで我慢しとく…。」
「じゃあ後は琉伊君にも相談してみるわ。」
「うん。」
あたしと悠陽はどんなとこにいても大丈夫。
なんだかこれだけは確信が持てる。
「あ、莉里も一緒に行くから。」
「そうなの!?」
「そ。俺ら双子でって言う話し。」
じゃあ浮気の心配はないね!!
よかった…。
話し終えた悠陽は何だかスッキリ顔。
やっと言えた~…。って顔してる…。
「キスしたい?」
「ここで!?」
「だっててっぺんだし。」
「してあげてもいいですよ…。」
観覧車でキスとかベタだよね…。
でもあたしがさっきカップルらしい事全部したいと言ったせいですかね…。
「俺は今日どこに帰ればいいの?」
「なんで?」
「だって美羽がさっき帰れって言ったっしょ。」
あっ…。
勢いだよあれは!!
「で?どこに帰ればイイ?」
「ぅち…。」
「聞こえない。」
「家に帰ればいいじゃん!!」
「素直じゃねぇの…。でもカワイイ。」
その笑顔!!
その優しさ!!
クラッとしちゃ~う!!
「来週は制服デートな?」
「うん!!」
あたし達は距離に負けない。
って言うか負ける気がしなぁぁぁぁいの!!
【英梨】
仕事の合間に入った3日の休み。
不思議なくらい空いた穴…。
「社長がたまには休めってよ。」
「嬉しいけど今は仕事してたいかも…。」
「でも最近頑張り過ぎだ。」
マネージャーの太郎さんが心配してくれてる。
あたし、そんなに弱ってるかな…。
家に一人でいると余計な事考えちゃうんだもん…。
樹奈さんとこにでも遊びに行こう…。
明るい樹奈さんといると楽しいんだもん。
でも洋平君との予定が2日目にある。
それで決着つけなきゃ…。
蒼君が頑張ってるからあたしもしっかりする!!
そう決めたんだ。
あたしはやっぱり蒼君が好きなんだもん。
「じゃあお疲れ。」
「はい!!太郎さん、帰り気をつけてね!!」
「あいよ~。」
さぁて!!
樹奈さんとこ行っちゃお~。
電話をしなくても直接行っちゃうあたし。
でも樹奈さんは夜はほとんどいる。
「おかえり~。」
「ただいま!!遊びに来ちゃった!!」
「入って!!」
なんか樹奈さんといると安心する。
お姉ちゃんみたいな。
「明日から3日休みなのぉ~…。」
「そうなの!?ヒマならどっか行く?」
「本当!?行く!!」
樹奈さんとデートだぁ!!
あたしは久しぶりの仕事と学校以外の外出に嬉しくてたまらなかった。
だからその日はそのまま話しが盛り上がっていつの間にか樹奈さんの部屋で寝てしまった。
「あたしシャワー浴びてから着替えて来るね!!」
「じゃあ準備終わったら電話して?」
「はぁい!!」
普通に樹奈さんの部屋を出て、いつも通り何の迷いもなく部屋のカギを開けた。
幻覚が見える…。
どうしているの?
あたしの部屋なはずなのに…。
何で蒼君がソファで寝てるの…。
「蒼く……ん?」
スースーと気持ちよさそうに寝てる蒼君はあたしに気付いてない…。
何でいるの?
頭が軽くパニックだ…。
だって蒼君はアメリカで撮影中で…。
本物?
悠陽君じゃないよね?
まさか日向さん?
違う…。
蒼君だ…。
「蒼君!!」
「はっ!!あっ…。おかえり。」
ヤバイ…。
蒼君が喋った…。
泣きそうだよ…。
「おいで。」
優しい蒼君の言葉であたしは蒼君に飛び付いた。
蒼君の腕だ…。
蒼君だ…。
「泣くなよ。」
「なんでいるのぉ…。」
「会いたかったから。帰ってきちゃったっス。」
蒼君の言葉とは思えない…。
『会いたかった』
もうダメ…。
嬉し涙がとめどなく溢れた。
優しく頭を撫でてくれて軽く抱きしめてくれてて…。
夢みたい…。
「朝帰りかよ…。」
「違うのっ!!樹奈さんって言う友達が下に住んでるの!!」
「そう…。洋平んとこかと思った…。」
そう言った蒼君は軽くため息をついてキツクあたしを抱きしめた。
まだあたしを思っててくれてる証拠だ…。
「あっ!!あたし樹奈さんと出掛ける約束してたんだ!!」
「行って来いよ。」
「蒼君は…。」
「俺はここで待ってっから。」
でも離れたくない…。
1秒でも長く蒼君といたい…。
「ごめんなさいするからちょっと待ってて…。」
「そんなに俺といたい?」
あっ…。
懐かしい意地悪な顔…。
「いたい…。」
「いいから行って来い。俺、今からラジオだし。」
「でも…。」
「終わったらここで待っててやるよ。」
お家帰らないの?
あたしのそばにいてくれるの?
「いつ帰るの?」
「お前の休みが終わる時。」
だからあたしが3日も…。
最高な休日だよ…。
「俺、一回家帰って仕事してくっから。」
「うん。早く帰って来る…。何か食べたいのある?」
「英梨…。なんてな!!じゃ、行ってくるな?」
「う、うん…。」
今物凄くドキドキした…。
でも蒼君はなんだかあたしに遠慮してるような感じがする…。
キスもしてないし…。
いつもの蒼君らしさがない。
なんだか溝が出来てしまったような…。
そんな感じ…。
だからあたしも近づいちゃいけないようで…。
早く全て終わらせたい…。
蒼君がいなくなってから仕方なくシャワーを浴びて出掛ける準備をした。
「もしも~し!!」
「準備出来た!!」
「じゃ、エントランス集合ね!!」
今日は蒼君とちゃんと話そう。
樹奈さんに会ってすぐに蒼君の事を話した。
「何してんの!!あたしなんていつでもヒマなんだから!!今から部屋帰りなよ!!」
「違いの!!蒼君は仕事に行ったから…。」
「そっか~…。若干会って見たかったな…。なら買い物行きますか!!」
やっぱり明るい樹奈さんといると楽しい。
余計な事を考えなくて済む…。
「ここ!?」
「何カップ?」
「あたし!?Dかな…。」
「見かけによらねぇ。」
はい!?
何その冷ややかな眼!!
「樹奈さんは何カップ?」
「ギリギリCだけど文句ある?」
「いえ…。ないです…。」
それでその眼差しね…。
ってか何で下着屋?
「はい、買っておいで。」
「えっ!?あたしの!?」
「そうだよ?」
「な、なぜ?」
「ケンカ、マンネリ、モヤモヤ解消法。身体で確かめる相手の気持ちってとこかな~。」
だからってその派手なのは確実に樹奈さんの好みじゃないかな…。