中学の時の友達の谷原君とかと遊んだりするのかな?
「ケンジに拉致られた…。」
「池内君!?なんで!?浮気!?」
「浮気じゃねぇよ…。プリクラ撮ったらナンパされて、そのまま知らない女とカラオケ行ってきた。」
ん?
知らない『女』!?
女女女女女女女女…。
「あたしが仕事してる時に女と遊んでたわけ?」
「まぁ…。遊んでたわけじゃねぇけど。ケンジにムリヤリ連れて行かれただけ。」
「あたしとも遊ばないのに女とかケンジとか何なの!?悠陽超ムカツク!!」
「は!?別になにもしてねぇんだからよくね!?行きたくて行ったわけじゃねぇし!!」
「女とか本気ムリ!!ごちそうさま!!悠陽、今日は帰って!!」
もうムカつく…。
女って何!?
「何もしてねぇって!!」
「だから何!?だったらあたしともデートしてよ!!」
どこにも行けてないのに…。
あたしとは引きこもりなのに!!
「わかった…。来週時間作っから。美羽の好きなとこ連れてってやるよ。」
「じゃあ二人で旅行行きたい。カップルらしいとこ全部行きたい!!」
「ムリ言うなよ…。」
「じゃあもう嫌い…。」
悔しいような感情だ…。
あたしも悠陽と遊びたいもん…。
「今から夜の遊園地連れてってやるよ。」
「今から!?」
「着替えっから待ってろよ。」
本気!?
今からって…。
遊園地…。
「サクチャン、ちょっと夜遊びしてくる。」
「何かあったら電話してねー。」
本当に今から!?
ちょっと待って~…。
ってかまだ遊園地やってるの!?
「悠陽!!さっきのはウソ!!」
「美羽に嫌われたくねぇもん。」
「嫌いじゃないよ!?大好き!!」
「いいから行くぞ。」
手を引っ張られて慌てて玄関を出た。
あっと言う間についてしまった遊園地。
「キレイだよ悠…。」
「機嫌治った?」
「うん…。」
全部のアトラクションがライトアップされてて凄いキレイ…。
しかもカップルだらけだ…。
「美羽、時間ないから観覧車だけ乗るぞ。」
「うん…。」
「手。」
「はい…。」
なんか怒ったあたしって子供みたいだ…。
恥ずかしい…。
悠陽の大きな手を握って観覧車に乗った。
夜景見えるかな?
「美羽、俺はお前のためならなんでも出来る。」
「うん…。」
「お前を裏切ったりしねぇから。それに美羽が望むなら何でも叶えてやるし…。だから俺を信じなさい。」
「はい…。」
悠陽は女の子と遊んでも誰といてもあたしを思っててくれるんだ…。
あたしって本当にちっちゃいなぁ…。
「美羽の為に何人撃退したと思ってんだよ…。」
撃退?
まぁそこは聞き流そう…。
知らなくていい事だと思うしまた喧嘩しちゃいそう…。
「そこでなんだけど…。」
「なぁに?」
「イヤならイヤって言ってな?美羽の本心を聞きたいから。」
「だから何?」
「1ヶ月アメリカ行く話しが出てるんだよ俺。」
えっ!?
アメリカ!?
1ヶ月…。
「俺、美羽と付き合う前に琉伊君と約束したんだ。美羽を悲しませないって。寂しい思いもさせないって…。だからお前がイヤなら行かない。」
待ってよ…。
それはあたしが決めてイイことじゃない…。
「悠陽は行きたいの?」
「まぁ…。世界ってのを見てみたい気はするかな…。」
行きたいっぽい…。
寂しいし泣くかもしれないし…。
蒼斗達みたいに距離と気持ちが一緒に離れたりしたら…。
怖いよね…。
悠陽といれなくなるのはイヤだ…。
でも悠陽は会社の跡継ぎ…。
いずれ辞めてしまうモデルに未練を残させたくない。
「行ってきてイイよ!!」
「寂しくねぇ?」
「寂しいけど…。たかが1ヶ月の距離に耐えられなかったら悠陽との恋は偽物の気がするもん…。」
「美羽…。」
「行って来なよ。あたしは悠陽だけ見て待ってるから。」
悠陽の夢はあたしの夢でもある。
あたしに夢が出来たら、あたしの夢も応援してもらいたい。
「美羽泣く?」
「泣かない~。悠が戻って来るまで我慢しとく…。」
「じゃあ後は琉伊君にも相談してみるわ。」
「うん。」
あたしと悠陽はどんなとこにいても大丈夫。
なんだかこれだけは確信が持てる。
「あ、莉里も一緒に行くから。」
「そうなの!?」
「そ。俺ら双子でって言う話し。」
じゃあ浮気の心配はないね!!
よかった…。
話し終えた悠陽は何だかスッキリ顔。
やっと言えた~…。って顔してる…。
「キスしたい?」
「ここで!?」
「だっててっぺんだし。」
「してあげてもいいですよ…。」
観覧車でキスとかベタだよね…。
でもあたしがさっきカップルらしい事全部したいと言ったせいですかね…。
「俺は今日どこに帰ればいいの?」
「なんで?」
「だって美羽がさっき帰れって言ったっしょ。」
あっ…。
勢いだよあれは!!
「で?どこに帰ればイイ?」
「ぅち…。」
「聞こえない。」
「家に帰ればいいじゃん!!」
「素直じゃねぇの…。でもカワイイ。」
その笑顔!!
その優しさ!!
クラッとしちゃ~う!!
「来週は制服デートな?」
「うん!!」
あたし達は距離に負けない。
って言うか負ける気がしなぁぁぁぁいの!!
【英梨】
仕事の合間に入った3日の休み。
不思議なくらい空いた穴…。
「社長がたまには休めってよ。」
「嬉しいけど今は仕事してたいかも…。」
「でも最近頑張り過ぎだ。」
マネージャーの太郎さんが心配してくれてる。
あたし、そんなに弱ってるかな…。
家に一人でいると余計な事考えちゃうんだもん…。
樹奈さんとこにでも遊びに行こう…。
明るい樹奈さんといると楽しいんだもん。
でも洋平君との予定が2日目にある。
それで決着つけなきゃ…。
蒼君が頑張ってるからあたしもしっかりする!!
そう決めたんだ。
あたしはやっぱり蒼君が好きなんだもん。
「じゃあお疲れ。」
「はい!!太郎さん、帰り気をつけてね!!」
「あいよ~。」
さぁて!!
樹奈さんとこ行っちゃお~。
電話をしなくても直接行っちゃうあたし。
でも樹奈さんは夜はほとんどいる。
「おかえり~。」
「ただいま!!遊びに来ちゃった!!」
「入って!!」
なんか樹奈さんといると安心する。
お姉ちゃんみたいな。
「明日から3日休みなのぉ~…。」
「そうなの!?ヒマならどっか行く?」
「本当!?行く!!」
樹奈さんとデートだぁ!!
あたしは久しぶりの仕事と学校以外の外出に嬉しくてたまらなかった。
だからその日はそのまま話しが盛り上がっていつの間にか樹奈さんの部屋で寝てしまった。
「あたしシャワー浴びてから着替えて来るね!!」
「じゃあ準備終わったら電話して?」
「はぁい!!」
普通に樹奈さんの部屋を出て、いつも通り何の迷いもなく部屋のカギを開けた。
幻覚が見える…。
どうしているの?
あたしの部屋なはずなのに…。
何で蒼君がソファで寝てるの…。
「蒼く……ん?」
スースーと気持ちよさそうに寝てる蒼君はあたしに気付いてない…。
何でいるの?
頭が軽くパニックだ…。
だって蒼君はアメリカで撮影中で…。
本物?
悠陽君じゃないよね?
まさか日向さん?
違う…。
蒼君だ…。
「蒼君!!」
「はっ!!あっ…。おかえり。」
ヤバイ…。
蒼君が喋った…。
泣きそうだよ…。
「おいで。」
優しい蒼君の言葉であたしは蒼君に飛び付いた。
蒼君の腕だ…。
蒼君だ…。
「泣くなよ。」
「なんでいるのぉ…。」
「会いたかったから。帰ってきちゃったっス。」
蒼君の言葉とは思えない…。
『会いたかった』
もうダメ…。
嬉し涙がとめどなく溢れた。