【隼人】
朝ってかなり恐怖…。
俺ってどうやら天道家の一員になったらしい…。
「いつまで寝てんの隼人!!」
「うん…。」
「入学式でしょ!?莉里はもうとっくに起きてる!!」
「じゃあ莉里が起こしに来てよ~…。」
「何か文句あんの!?あたしじゃ不満なわけ!?」
寧音さんの大声で起こされる朝…。
悠陽君みたいに殴られないだけマシ…。
昨日は仕事が夜中までだったのに~…。
しかもそのあと飲んで来たのに…。
「起きろってば!!」
「はい!!起きます!!おはよう寧音さん…。」
「おはよう隼人。ご飯食べるならシャワー前にしてね。」
天道家の朝は結構慌ただしい。
みんなそれぞれ仕事をしてるから。
時間が合わないのなんて超普通の事。
「隼人っ!!」
「莉里!!制服カワイイね!!」
「でしょ!?でもスカート長くない?」
「これ以上短くしたらパンツ見えるからダメ。」
恐怖な朝にも幸せはある!!
今日から俺達は西学の生徒!!
AQUAもみんな無事に合格できた。
「隼人も早く制服来てみてよ!!」
「まだ時間あるし~…。タバコくらいゆっくり吸わせてよ~…。」
「あっ!!学校は禁煙だからね!!」
えぇぇぇ…。
何時間我慢すればイイの~…。
超ムリなんだけど…。
「意地でも生徒会室は喫煙にする。」
「何で生徒会!?」
「言ってなかった?俺が入学する条件。活気がない生徒会にAQUAが全員入るの。」
「AQUAが生徒会!?エロ学園になっちゃうじゃん!!」
そうかもね…。
でもそれが条件だし…。
学園長が何企んでんのかは知らないけど俺達は生徒会に入らなきゃいけないみたいだ。
ほとんど学校にイナイ事とかあるんだけどどうするんだろ…。
まぁ他の生徒もいるだろうし!!
莉里も生徒会に入れちゃおう。
タバコを吸い終えて寧音さんが焼いてくれたトーストを食べてからシャワーを浴びた。
この歳で制服着るのって若干恥ずかしい…。
でも着なきゃいけないよね。
「隼人~!!超高校生!!」
「20歳に見えない?」
「うん!!高3くらいに見える!!」
他のメンバーは絶対見えないだろうな…。
ヒゲとか普通に生えてるし。
それにしても莉里の制服姿はカワイイ。
他の男に取られないように頑張らなきゃ!!
「俺ヤりた~イテッ!!」
「朝から盛ってんじゃねぇよボケ。」
「だからってそんなぶ厚い本で殴らなくてもいいでしょ日向さん!!」
「何の為に部屋別にしたと思ってんだ。」
本当に容赦なくなった日向さん。
俺に悠陽君と同じ扱いをしてくれる。
もの凄く嬉しいよ…。
言わないけど日向さん大好き。
「今度これ出んだろ?」
「そうそう!!初めてだね!!一緒に仕事すんの!!」
日向さんと夢の初仕事!!
日向さんがメインみたいな雑誌に俺特集で載る!!
しかも日向さんと撮るなんて夢みたいだ!!
「ヘマすんなよ息子。」
「頑張る!!」
「ってか入学祝い。」
「何!?」
日向さんがくれた入学祝い!!
カギ…。
「ねぇ!!これってまさか!?」
「まさかだな。車庫に入ってる。」
「見てくる!!」
走って外に出た。
すげぇ~!!
ビッグスクーター!!
車で学校にきちゃダメだって言う学園長のおかげで欲しかったビッグスクーター!!
「日向さ~ん…。マジ嬉しい…。莉里と乗る!!」
「事故んなよ。」
「絶対事故んない!!本当にありがとう!!」
「別に~。莉里には新しいパソコン買ってやるし悠陽には服大量買いしてやるし。値段的にはかわんねぇしな。」
やっぱり俺、日向さんの本物の息子に産まれたかった…。
部屋に戻って莉里に自慢した。
「女は莉里しか乗せちゃダメだよ!!」
「わかってる!!でも日向さん名義らしいから日向さんも乗るって~。」
「そうなんだ。でもあれってイイのかな…。」
「学園長は『スクーターなら可』って言ったし。それがビッグになっただけだよ。」
これからの高校生活楽しみだな~。
温かくなったら莉里と海にでも行こう。
「じゃあそろそろ行こうか。」
「うん!!」
「悠陽君は?」
「美羽と行くって先に出た!!」
今日だけは手を繋いで歩いて登校!!
1回してみたかったんだよね~!!
莉里とラブラブ登校!!
「隼人の頭カッコイイね!!」
「そう?色入れただけだよ?」
「カッコイイ!!」
「莉里の爪もめちゃくちゃパワーアップしててカワイイね。」
「でしょ!?超カワイイ!!」
俺達って多分バカップルって奴なのかな?
でもカワイイもんは仕方ない。
「今日の祝辞は蒼斗だって。」
「そうなんだ。人気者も大変だね。」
「来年は隼人かもよ?」
「まさか~。それはないよ。だって俺バカだもん。」
「そうだね!!」
莉里と同じクラスになんないかな~。
なんて事を考えながら学校についた。
「隼人だ~!!やっぱりここ来てよかったね!!」
「よかったぁ~!!」
やけに女が多い気がするけど気にしないでクラス発表をみた。
俺は…。
「莉里何組?」
「4組!!隼人は!?」
「俺1組で悠陽君と同じ。離れたし~…。」
「莉里はモリリンと同じだ!!あと悟さん?悟さんの苗字って何?」
「加藤。あ、裕介も一緒じゃん。」
よく見てみると美羽チャンも俺と同じクラスだった。
海と仁君は2人で同じクラスだ。
莉里の事は悟と裕介にお願いしよう…。
それにしても悠陽君と美羽チャンが同じなんて羨ましい…。
莉里と別れて今日から過ごすクラスに入った。
1番前の席とか超憂鬱…。
「隼人さんおはよ。」
「おはよう悠陽君。美羽チャンも。同じクラスなんて羨ましいね~。」
「俺は隼人さんと同じで嬉しいけどね!!」
悠陽君はやっぱり目立つ。
金髪と背の高さはやっぱり目立つ。
悠陽君もカッコイイなぁ~。
「美羽ちゃんも1番前なの?」
「そうですよ~。赤沢だから仕方ない…。でも隼人さんの逆隣だね!!」
「そうだね!!」
悠陽君は俺の後ろの後ろ。
席替えしたいなぁ~…。
「新入生の皆さんは廊下に並んで体育館まで移動してくださ~い。」
そんな無気力な放送が流れたので俺達は廊下に並んで体育館に移動した。
保護者が多いけど今日は日向さんも寧音さんもいないはず。
蓮さんが来るって言ってたけどどうなんだろ…。
何か横の視線が気になる~…。
「何!?なんかさっきから見てる!?」
「いえ!!ただカッコイイなぁ~って…。俺歌手志望なんです!!」
「そうなの?俺なんかより悠陽君のがカッコイイよ?」
「この二人に挟まれてる俺って何なんでしょうね…。」
確かに悠陽君の隣にいたら引立て役にしかなんないね…。
しかも悠陽君は寝てるし!!
たしか悠陽君って寝ると脱ぎだすんじゃない!?
見物だね。
「祝辞。在校生代表天道蒼斗君。」
「新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。在校生を代表して祝辞を読ませていただきます。本日は晴天に恵まれ…。」
あの祝辞は蒼斗君が考えたのかな…。
凄い真面目な祝辞をサラッと語る蒼斗君はやっぱりカッコイイ。
「…沢山の思い出をこの学園で作ってください。在校生代表、2年3組天道蒼斗。」
何してもカッコイイ~…。
それからも悠陽君は脱ぎ出す事もなく終わった入学式。
また教室に戻って自分の机に座った。
「隼人さん制服似合うね。」
「美羽チャンもカワイイよ?莉里には負けるけど。」
「それ余計なんですけど~。悠陽もカッコイイ…。」
「悠陽君も学ラン似合うね。でも高1には見えないかな?」
大人っぽい悠陽君は高3だ。
また寝てるし…。
「彼氏は最近お疲れなの?」
「なんか忙しいって言ってる…。寂しいけど今日は朝から来てくれたし!!」
「俺が起きたらいなかったからね~。」
「隼人さんは莉里と一緒で羨ましい…。」
でもそれは莉里とやり直す条件だし…。
悪い事しないように日向さんに監視されてんだ俺…。
「美羽チャンも住めば?」
「家はムリ!!パパリンが許さないもん…。」
琉伊さんは美羽チャン命だもんね~…。
お互い大変だね悠陽君…。