【蒼斗】



今は新幹線の中にいる俺…。



隣のカワイイ彼女にちょっかいを出しつつ、軽く緊張気味…。



ヒマになった高2の春。



いや、まだ高2にはなってない。



4月に入ったばかりだから。



莉里達の受験も終わり、俺達は何もない日常を送ってた。



俺がこの新幹線に乗ってるのは英梨の実家に行くため…。



「すっごい田舎だからね!?」

「それ聞くの100回目くらい…。」

「だって…。」



東北の方に向かってる俺…。



初めて英梨の親に会う。



やべぇ緊張すんだけど!!



「ねぇ蒼君、あたしトイレ行きたい。」

「何それ。誘ってんのか?」

「純粋に行きたいの!!」



わかってる…。



俺だって今はそんな気分じゃねぇからな…。



「滝川さんですよね?」

「そうですけど…。」

「サインください!!」

「いいですよ。」



変装らしい事を全くしない俺は周りに存在がバレてるらしい…。



猫かぶってニコニコしながらサインしてやった。



疲れる…。



でも英梨の実家に行ったらズットこれだ…。



「ありがとうございました!!」

「いえ、こちらこそ。」



素がバレたら結構嫌われそうだしな…。



頑張れ俺!!



「飴食べる?」

「口移しなら食ってやるよ。」

「ムリ!!はい!!」



でも英梨って全くなまってない…。



本当に田舎に住んでるんだろうか。



「着いた~!!久しぶりの地元~!!」



新幹線から電車に乗り換えて来てみたら…。



無人駅!!



広がるたんぼと山!!



「ここから何分?」

「車で1時間半くらいかな?」

「は!?ここが最寄りなのか!?」

「そうだよ?」



すげぇ田舎じゃねぇかよ…。



何もない…。



「タクシーとか呼ばなきゃ…。」

「イイよ!!お兄ちゃんが迎えに来てくれるから!!」

「兄ちゃん!?」



そう言えば英梨の兄妹の話しって聞いた事なかった…。



いたのか、兄妹…。



しばらく色あせたベンチに座ってたら黒いワゴンタイプの車が目の前で止まった。



お兄様!!



下りて来たその男は…。



焼けた肌と白い歯。



短い黒髪が似合う超イケメン…。



「よぉ英梨~!!1年ぶりだな!!」

「お兄ちゃん焼けたね!!」

「毎日外で働いでだら黒くもなっぺよ。」



方言!!



顔に似合わない!!



「あ、すっげぇ!!生蒼斗!!」

「初めまして。天道蒼斗と言います。」

「毎日テレビで見てっから初めての気がしねぇな!!」

「ははっ…。」



テンションの高い兄の車に乗ってみたら…。



チャイルドシート!?



兄貴何歳だよ!!



「瑛太元気!?」

「元気だ。早く英梨に会いてぇって言ってた。」



瑛太!?



何物だよ!!



「蒼君、お兄ちゃん子供いるの!!」

「みたいだね。このチャイルドシート…。お兄さんは何歳ですか?」



18とか19にしか見えない…。



こんな若い感じで20越えてるのか!?



「俺は20。瑛太は16の時の子供だから今年で4歳だ。」



16の時の子!?



結婚できねぇじゃん!!



「あ、俺の名前は英春。ヒデ君って呼んでな~。」

「ヒデ君…。」



気さくなあんちゃんだ…。



隼人さんとタメか…。



それからヒデ君は英梨の小さい頃の話しをいっぱいしてくれた。



あまり気を使わなくてよさそうな兄貴。



かなりイントネーションがなまってるけど、マジイイ人…。



「ここが家!!」

「すっげぇ和風!!」

「蒼君ちは完璧洋風だもんね!!」

「俺ん家畳もないし!!」



英梨の家は結構デカイ。



周りに何もない…。



コンビニとか全くない。



そのかわり畑が家の前にあるだけ…。



「ヒデ君すげぇイイ人だな!!」

「そう?奥さんは怖いけどね?」



そう言えば同居って言ってたな…。



怖いって言っても寧音ほどじゃねぇだろ。



そしてついに黒崎家に足を踏み入れた。



「え~りぃ~!!」

「瑛太~!!おっきくなったね!!」

「テレビ見てるよ!!あっ!!英梨の彼氏!!」



すげぇカワイイ…。



なんだこのチビ…。



目がクリクリしててボーズだ…。



服がどことなくオシャレでマジカワイイ…。



「ねぇねぇ!!英梨の彼氏でしょ!?」

「そうだよ。蒼斗って言うんだ。」

「蒼斗~!!僕瑛太!!」

「ヨロシク瑛太。」



だ、抱き着かれた…。



どうすりゃいい!?



「抱っこして!?」

「抱っこ!?」

「うん!!」



超カワイイ…。



人見知りと言う物を知らないらしい…。



抱っこした瑛太は結構思い。



「蒼斗おっきいね!!パパはもっとちっちゃい!!」

「瑛太、お兄ちゃん大変でしょ。」



そう言って出てきたのは多分瑛太のママさん…。



普通に美人。



色黒でサーファーっぽいけど美人だ。



「お帰り英梨。」

「ただいま!!蒼君連れて来たよ!!」

「初めまして。英梨の義姉の理香です。」



礼儀正しくて落ち着いてる感じだ。



カッコイイ感じで兄夫婦はお似合い…。



「初めまして天道蒼斗と言います。」

「生で見ると顔ちっちゃいし肌キレイだね。世界的に有名だったモデルさんの息子でしょ?」

「はい。父より兄のが有名ですけどね。」

「あたし疎いのよ…。だからお兄さんわかんない。」



ヒナ兄を知らないなんて…。



相当疎いぞ…。



「理香チャンほとんどテレビ見ないから!!それより中入ろう!!」

「あ、お邪魔します。」



母と父はどこじゃい!!



兄夫婦よりそっちが重要!!



将来は嫁にもらおうとしてる英梨の親に気に入られるのは最重要!!



まず、第一印象が大事!!