「……初めてそんな事言われた」

「え?」

「あのバカ兄貴の事…いいな、なんて」




千愛ちゃんは私の顔から机に視線を移して

さっきより小さい声でそう呟く。

周りで見ている人達も何も話さず、

ただただ時間が流れていった。




「……そんなに良い物じゃないけどね

ヒーロー戦隊なんて」

「い、良い物だよ!同じ物だよ!」

「……ふふっ」






心臓が跳ね上がった。




……さっきまで迷惑そうだった千愛ちゃんが

とても優しい笑顔で笑っていたのだから。




……私は生きてきて初めて人の笑顔で

少し泣きそうになった気がする。