『あの雑誌さー、』
『それでね!』
たくさんの声が聞こえるなか、
私は本を読んでいた。
『杏璃、また読書?』
『この作者好きなの。』
『杏璃って、性格明るいしいい子のハズなのに、なぜか友達少ないよね。』
『霧香に言われたくないよー。』
私は長尾杏璃。
高校2年生。
友達は著しく少ない。
林道霧香。
私の数少ない友達。
中学校からの仲。
『杏璃はさ、人見知りすぎなんだよ。』
『んなことないよ?』
『じゃあ心開いてる人誰だっけ?』
『霧香とパパとママと伸哉の乃蒼。』
『ほら、私以外の友達なんて黒崎しかいないじゃない。弟とか論外よ。』
だって、みんな私を冷たい目で
見てそうなんだもん。
本の影から、話している女の子のグループを眺めた。