「ほんとに大丈夫?」



「なに言ってるんすか。オレだって一応男っすよ」



少しだけ歯を見せて笑う伊澄くん。



癖のある髪が、風にふわっと流される。



「はい。乗ってください」



「う、うん…」



少しだけ緊張を覚えながら、伊澄くんの後ろに座る。



「照れてないで、ちゃんと掴んでください」



そう言って、伊澄くんが私の腕を掴み自分の腰に回した。



「あ、わわっ」




バランスを崩し、伊澄くんに体重が傾いてしまう。



「ご、ごめんね伊澄くんっ」



「そうやって離さないで下さいね。出発〜」



「わっ」



いつもと違う雰囲気の中、二人乗り自転車は走り出した。