____ピーッ



部活終了を告げる笛が鳴った。




時計の針は9時半を過ぎようとしている。



着替えを終え、帰路につこうとした私の目に、今は決して見たくない光景が映った。



芽依ちゃんと輝が並んで歩き、芽依ちゃんは照れ笑い、輝もはにかんでとてもいい雰囲気の2人。



そのときフッと自嘲気味な笑いが漏れた。



私はどうしていちいち輝を追っているのか。



それがバカバカしく感じたからだ。



さっさと帰ろうと2人から目を逸らし、歩き出そうとした私の背後から



「せーんぱい!」



やけに元気な伊澄くんの声。



「あれ?先輩元気ないんすか?」



「え〜?元気モリモリだよ〜!それより伊澄くんどうしたの?なにか用事?」



「や、輝先輩と帰らないならオレと帰りません?」



「は?」



輝の名前が出たのと、伊澄くんの言ってることも理解できないのとで、つい眉を寄せてしまった。