「うん…っ」



何年ぶりかに、お母さんと話せる。



何年ぶりかに、お母さんと目を合わせられる。



お母さんは、笑ってくれるだろうか。



私のこと、抱きしめてくれるだろうか。



『じゃあ、迎えいくからね』



そう言って、お父さんは電話を切った。



「雫輝っ」



「わっ」



ケータイをカバンにしまうと同時、美涼が私に抱きついた。



「よかった…よかったね雫輝…!!」



私のことのように喜んでくれる美涼。



俊哉も輝も、優しく笑って頷いてくれている。



「ありがとう…」



美涼の肩越しに見る空は、雲ひとつない澄み切った空だった。