「みす、ず…」



「何があったの雫輝」



美涼が震える私の手を握り締める。



風が、私の涙を連れ去った。



「お母さんが…意識取り戻したって………!」



「…え…?」



美涼も私と同じ反応をした。



理解するのに時間がかかるように、ピタリと動きを止めて。



「あ、もしもし。俺です。輝」



いつの間にか輝が、ケータイを耳に当てていた。



「落ち着くまでもう少し……え?はい。任せて下さい。はい」



輝が私にケータイを渡す。



いまだに震えが止まらない手で、それを受け取った。



「お父さん…」



『今日、病院に行こう』