輝を見て安心したのと、さっきまでの恐怖がぐちゃぐちゃになって涙が自然と出てきてしまう。



極度の緊張をすると、人間は涙が出るものだと、この時ほど感じたことはなかった。



「ごわがっだぁあ」



「おま、こっちくんなバカ！はな、鼻水！」



そう言葉では突き放しながらも、抱きつく私を引き離そうとはしない輝の優しさ。



輝の匂いが、全てを和らげてくれる。



「ったく…なんでおまえがネックレスなんて探してんの」



「な、なんで知ってるの…？」



涙でぐちゃぐちゃになった顔で、輝を見上げる。



輝は、そんな私の頭に手を乗せながら言う。



「和歌に聞いた」



「千陽ちゃんに？」



「あいつロビーのソファで横になってて、大丈夫かって声かけたら私より雫輝のことってな」



千陽ちゃんにも輝にも、今は感謝の気持ちしかない。