と、少し向こうに小さな光が浮かんでいるのが見えた。



それはあのとき、伊澄くんと見た火の玉に似ていた。



全身に鳥肌がたち、逃げようにも腰が抜けてしまって立てない。



涙が浮かび、恐怖が自分を支配していくのを感じながら、ぎゅっと目を瞑った。



____パキッ



すぐ近くで、枝の踏む音。



もうだめだ、と息をするのも忘れたとき、



「雫輝!」



聞き覚えのある声。



固く瞑った目を開け、恐る恐る声のした方に目を向ける。



「て、輝…」



そこには、懐中電灯を持った輝がいて。



一気に全身の力が抜けてしまった。



「何やってんだか…」



懐中電灯で私を照らしながら、輝が小さく呟く。